田中区長によりますと上新道地区の住民はほとんどが65歳以上の高齢者ですが、上下水道が全く使用できない状態が続いていて、生活に大きな支障が出ているということです。
田中区長は、「いちばん困っているのは水です。住民の多くはトイレに困っていて、町には早く仮設トイレを作ってほしいとお願いしています。道路が使えないので給水車も来ることができず、ペットボトルの水だけが頼りですが、体を拭いたり、飲み水に使ったりするだけで精いっぱいです。土砂を流すこともできないので今は一輪車を使って家の中から土砂を出すだけです」と話していました。
町によりますと道路が復旧する時期が見通せないため、9つの集落の孤立状態が解消する見込みは立っていないということです。
福井県は運送業者に委託して水や食料を運ぶとともに、仮設トイレを積んだ車を現地に設置するといった対応を取っているということです。
福井 南越前町 大雨で9集落が孤立状態「困っているのは水」
5日の記録的な大雨で道路が寸断された福井県南越前町では9つの集落で車が通れない「孤立状態」が続いています。このうち大きな被害が出ている上新道地区の田中利治区長がNHKの取材に応じました。
田中区長は「地区にある22軒のうち10軒ほどが床上まで浸水しました。中には家の中を通り抜けるように土砂が流れ込んだところもあります。地区の中と外は徒歩でしか行き来できない状態で、これまでに3回、自衛隊や役場の人から食料や水を受け取りましたが、食事よりも家のことが心配でなかなか食事のことを考える気にもなりません」と話していました。