安倍元首相銃撃 容疑者“山中で試し撃ち”と供述 周到に準備か

安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれ死亡した事件で、逮捕された容疑者は調べに対し、事件前日に恨みがあった特定の宗教団体の施設で試し撃ちをしたと供述していますが、それ以前にも山の中で試し撃ちをしていたと供述していることが捜査関係者への取材で分かりました。
警察は周到に準備を重ねていたと見て調べています。

銃は“YouTube参考に製造”と供述

安倍元総理大臣は今月8日、奈良市の大和西大寺駅近くで演説中に銃で撃たれて死亡し、警察は奈良市に住む無職の山上徹也容疑者(41)を逮捕して殺人の疑いで捜査しています。
襲撃には手製の銃が使われたとみられ、山上容疑者は調べに対し事件前日の未明に恨みがあった特定の宗教団体の奈良市内にある施設で試し撃ちをしたと供述しているということです。

さらにそれより前の時期にも山の中で試し撃ちをしていたと供述していることが捜査関係者への取材でわかりました。
これまでの捜査で、容疑者の車からは試し撃ちに使ったとみられる穴のあいた木の板が見つかっています。

一方、銃についてはインターネット上の動画投稿サイト「YouTube」を参考に製造したという趣旨の供述をしているということです。

警察は容疑者が周到に準備を重ねていたとみて、事件に至るまでの詳しい行動を調べています。

松野官房長官“警護や警備に問題あった”と報告受ける

安倍元総理大臣が銃で撃たれ亡くなったことについて、松野官房長官は午前の記者会見で「政府として大変重く受け止めている」と述べたうえで、警察庁から警護や警備に問題があったと報告を受けていることを明らかにしました。
この中で松野官房長官は「重大な結果を招いたことについて政府として大変重く受け止めている。警察庁からは、地元の警察の現場での対応のみならず、全国の警察を指導する立場にある警察庁の関与のあり方も含め、今回の警護、警備に問題があったとの報告を受けている」と述べました。

そのうえで「今後の国家公安委員会で、今回の警備の検証や今後の対応について議論がなされる。このような事案を二度と起こすことがないよう、しっかりした取り組みを望みたい」と述べました。

また、安倍元総理大臣の死去が政権運営に与える影響を質問されたのに対し「私も含め多くの議員が、ことあるごとに指導とアドバイスをいただいてきた。政権運営への影響について答えることは控えるが、政府としては、新型コロナ対応や物価高騰、それにウクライナ情勢などの諸課題にしっかり対応していきたい」と述べました。

自民党本部に献花台

安倍元総理大臣が亡くなったことを受けて、自民党本部の入り口には、献花台が設けられていて、11日朝も、花を持った人が相次いで訪れ、手を合わせるなどして死を悼んでいます。
都内の40代の会社員の男性は「日本のために精いっぱいやっていただいた方なので、献花しに来ました。ほかの政治家がなかなか実行できない中、安倍元総理大臣はいろいろなことを実際に成功させていた方なので感謝しかないです」と話していました。

また、都内の40代の自営業の男性は「一度握手をしたことがありましたが、本当に優しいまなざしでとても優しく接して下さった。亡くなられ、まさかという気持ちで、今でも信じられないです」と話していました。

また、幹部が集まる党本部の4階には、安倍氏の遺影が置かれた記帳台が設けられています。
一方奈良市の現場近くに設けられた献花台には、多くの人が訪れ列ができています。午前11時には、小さな子どもを連れた家族から高齢者まで100人ほどの列ができていました。

大阪から訪れた70代の女性は「安倍さんにお礼を伝えたくて献花に来ました。もっともっと日本のために活躍してほしかったです」と話していました。

また、市内に住む40代の女性は「よく行き来している場所で事件が起きてショックです。容疑者には違う形で自分の思いを主張してほしかったです」と話していました。