新型コロナ“全国で増加 BA.5で感染拡大の懸念も” 専門家会合
新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数が大都市部でおおむね増加するなど、全国で増加に転じたと指摘しました。
オミクロン株のうち、より感染が広がりやすいと指摘される「BA.5」が国内でも主流になる可能性があり、感染拡大も懸念されるとして、基本的な感染対策の徹底を求めています。
専門家会合は、現在の感染状況について、全国では増加に転じていて、大都市部ではおおむね増加し、島根県など増加速度の速い地域も見られると指摘しました。
これに伴って、療養中の人や重症者の数が緩やかな増加に転じているとしています。
新規感染者数は全ての年代で増えているほか、東京都では特に20代の若い世代で増加幅が大きく、人口あたりの感染者数が全国で最も多い状態が続く沖縄県では高齢者も増加が続いています。
そして、大都市部についての短期的な予測では、今後、感染者数の増加が見込まれるとしています。
さらに、
▽3回のワクチン接種や、これまでの感染によって得られた免疫の効果が徐々に下がっていくことや、
▽7月以降、夏休みの影響もあって、人と人との接触機会が増えること、
それに、
▽より感染が広がりやすいと指摘される、オミクロン株の「BA.5」に置き換わり、国内でも主流になる可能性があることなどから、今後、感染者数の増加も懸念されるとして、医療体制への影響も含め注視する必要があると指摘しました。
専門家会合は、感染者数の増加をできるだけ抑えるためにも、
▽ワクチンの3回目の接種を、さらに進めるとともに、
▽少しでも体調が悪ければ外出を控えること、
▽不織布マスクの正しい着用、手洗い、1つの密でも避ける
といった、基本的な感染対策を徹底することなどを呼びかけました。
また、
▽自治体では診療や検査の体制、それに、保健所の体制を点検することが必要だとしたほか、
▽介護福祉施設では対策の徹底が必要で、従業員への積極的な検査を行うほか、高齢者の重症化を予防するために、入所者への4回目のワクチン接種を進めるよう求めました。
1週間の新規感染者数 前週比1.17倍に
首都圏の1都3県では、
▽東京都が1.37倍
▽神奈川県が1.25倍
▽千葉県が1.27倍
▽埼玉県が1.13倍と、
増加しています。
また、関西では、
▽大阪府が1.33倍
▽兵庫県が1.21倍
▽京都府が1.04倍
東海でも、
▽愛知県と岐阜県が1.21倍
▽三重県が1.29倍と、
先週までの減少、横ばい傾向から増加に転じています。
▽島根県は2.92倍
▽鳥取県は1.60倍
▽和歌山県は1.53倍
▽福岡県は1.20倍
▽人口あたりの感染者数が最も多い沖縄県も1.15倍など、
先週よりも感染者が増加したのは29の都府県に上る一方で、
▽北海道で0.85倍
▽宮城県で0.83倍
▽広島県で0.98倍など、
減少か横ばいが続いている地域もあります。
人口10万あたりの直近1週間の感染者数は、
▽沖縄県が650.09人と、全国で最も多くなっています。
次いで、
▽熊本県が226.66人
▽島根県が194.75人
▽佐賀県が186.83人
▽鹿児島県が148.40人
▽東京都が118.11人
▽大阪府が116.87人
などとなっていて、
▽全国では91.57人となっています。
専門家「増加傾向が加速しながら続く可能性も」
また、今後、必要な対策については「自治体においては医療体制や検査体制、保健所の体制を再点検する必要がある。また、ワクチンの接種について、高齢者や重症化しやすい人は、重症化予防のため4回目の接種を加速していくべきだという意見があった。さらに感染が生じた場合に備えて、治療薬へのアクセスなども十分に考えるべきだし、高齢者施設への医療の支援体制をしっかりと再点検して備える必要があるという議論があった」と話していました。