首相 食料危機で2億ドル拠出表明 ロシア軍事侵攻原因と指摘
G7サミットに出席している岸田総理大臣は、世界的な食料危機をめぐり、ロシアによる軍事侵攻が原因だと指摘したうえで、ウクライナに加え、中東・アフリカ諸国を支援するためおよそ2億ドル、日本円にして270億円の拠出を表明しました。
ドイツ南部のエルマウでのG7サミットに出席している岸田総理大臣は2日目の議論が行われたきのう、ウクライナ情勢や食料安全保障、エネルギーなどをテーマにした会合に臨みました。
この中で、岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略はほかの地域でも起こりえる。ロシアに対する制裁は解除すべきではない」と述べ、制裁を維持・強化することが重要だと強調しました。
また、軍事侵攻を背景とした世界的な食料危機をめぐり「ロシアは誤った言説を拡散している。危機の原因はロシアの侵略にある」と述べ、欧米などの制裁によるものだとするロシア側の主張を否定しました。
その上で、ウクライナの穀物輸出の再開に向けた貯蔵施設の整備や、中東・アフリカ諸国への食糧支援などを行うため、およそ2億ドル、日本円にして270億円を拠出する方針を表明しました。
また、およそ1億ドルの追加の人道支援を検討していることも明らかにし、これまでのものも含め総額11億ドルの支援を実施していくと説明しました。
さらに、ウクライナでは穀物の収穫量の減少も見込まれ、引き続き食料安全保障が喫緊の課題になるとした上で、ことし11月に予定されるG20サミット=主要20か国の首脳会議に向けて議長国インドネシアと連携を強化していく考えを示しました。
このほか、エネルギー問題などがテーマの会合では、ロシアを念頭に、特定の国への依存度を下げるためにも、再生可能エネルギーの拡大などが重要だと訴えました。
一方、アメリカのバイデン大統領とも、短時間会談し、G7で連携してロシア産の石油の取引価格に上限を設ける方針で一致しました。
また、来月末の開催で調整している、いわゆる経済版の「2プラス2」の成功に向けて協力していくことも確認しました。
岸田首相 バイデン大統領と短時間会談
会談は、両首脳が着座する形で行われ、岸田総理大臣は、先月のバイデン大統領の日本訪問に謝意を伝え、日米同盟のさらなる強化や、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け引き続き連携していくことで一致しました。
また、ウクライナ情勢をめぐっても意見が交わされ、ロシアに対する制裁やウクライナへの支援で緊密に連携していく方針を確認しました。
そしてロシアが石油輸出で得た利益を戦費にまわすのを防ぐため、G7で連携して、ロシア産の石油の取引価格に上限を設ける方針で一致し、今後具体的な仕組みを事務レベルで協議していくことになりました。
さらに両首脳は、来月末の開催で調整している、外務・経済閣僚による新たな協議の枠組み、いわゆる経済版の「2プラス2」の成功に向けて協力していくことでも一致しました。
岸田総理大臣は、28日の最終日の議論に参加し、日本時間の今夜記者会見して会議の成果などを発表することにしています。