ドローン きょうから所有者情報の登録義務化 違反で罰則も

活用が広がるドローンなどの無人航空機について、所有者などの情報の登録を義務づける新たな制度が20日から始まりました。登録していない機体の飛行が禁止され、違反した場合は罰則が科されます。

ドローンなどの無人航空機は、人手不足などを背景に物流や警備、災害対応などで活用が広がる一方、事故の際などに機体の所有者が特定できないケースが相次いでいます。

20日に施行された改正航空法では、屋外を飛行させる100グラム以上のすべての無人航空機を対象に所有者などの情報の登録が義務づけられます。

登録していない機体の飛行は禁止され、違反した場合は、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されます。

さらに、新たな制度では、国から交付される登録記号を機体に表示させることが求められるほか、飛行中の位置や速度などを電波で発信する機能を備えなければなりません。

国土交通省によりますと、去年12月からの事前登録ではすでに20万機を超える登録があったということです。

無人航空機をめぐっては、人がいる場所で目視できない範囲を飛行させる「レベル4」というより高度な飛行が年内をめどに可能となる見通しで、さらに幅広い用途への活用が見込まれています。

国土交通省無人航空機安全課の甲斐健太郎課長補佐は、「普及がさらに進むと事故なども増えるおそれがあり、機体が登録されていることで安心感につながると思う」と話していました。

ドローンが関係する事故や事件 すぐ所有者特定するねらい

新たな制度には、ドローンが関係する事故や悪用される事件が発生した際にすぐに所有者を特定できるようにするねらいがあります。

先月25日、愛知県内の国道を走っていた乗用車に小型のドローンが衝突する事故がありました。

乗用車のドライブレコーダーは、標識の裏側から突然、姿を見せたドローンが、揺らめきながら高度を落とし、車に衝突した瞬間をとらえていました。

乗用車を運転していた会社員によりますと、車を止めて道路の周辺にある広場を見ると、ドローンを操縦していたとみられる男性がいたため、声をかけたところ、「当たった?」と返答があったということです。

会社員が「警察に連絡する」と伝えたあとに5分後に広場に向かうと、男性はすでに立ち去っていました。

1週間余りたって、男性が警察に事故を起こしたことを名乗り出たという連絡があったということですが、会社員は「一歩間違えば大事故につながっていた。事故を起こしたのが誰なのか分からない間は車の修理費用がどうなるかなど不安だった」と話していました。

ドローンなどの無人航空機の事故は増加傾向にあるほか、7年前には総理大臣官邸の屋上にドローンが落下しているのが見つかるなど、悪用する事件も発生していて、国土交通省は新たな制度により、所有者の速やかな把握につなげたいとしています。

操縦技術学ぶスクール 多くの人が受講

幅広い分野でドローンの活用が期待される中、安全な飛行のための操縦技術などを学ぶスクールでは、技術の習得を目指す多くの人が受講しています。

このうち、静岡県の自動車学校が運営するドローンスクールが先週行った2泊3日の講習には、建設会社やイベント会社に勤め仕事に生かしたいという人や、就職活動でアピール材料にしたいという大学生など20代から40代の4人が参加しました。

受講生は、講師のサポートを受けながらドローンを飛行させ、機体の向きを常に確認しながら操縦することや、高度を下げる時はプロペラの吹き降ろしの風に注意することなどを教わっていました。

こうした講習を受けると、安全な飛行のための操縦技術や知識を習得したことを認める証明書を取得することができ、証明書を交付する団体によりますと、去年の交付は5400件余りで5年前の8倍近くに増えているということです。

広告業界を目指して就職活動中の大学4年の男子学生は「ドローンの操縦は初めてで、風の影響を読むのが難しかった。就職活動でほかの人との差別化につなげたい」と話していました。

自動車学校のドローン専任講師、内村元気さんは「受講生も増えていますし、受講目的も広がっていて注目度の高まりを感じます。安全な使い方を身につける手助けをしていきたい」と話していました。