線状降水帯 発生のおそれ 半日~6時間前までに発表 気象庁など

まもなく本格的な雨の季節となるのを前に、気象庁と国土交通省は防災情報の伝え方を変えることになり、発達した積乱雲が帯状に連なって大雨をもたらす「線状降水帯」が発生するおそれのある場合には、半日から6時間前までに気象情報で発表するとしています。

「線状降水帯」は豪雨による災害で繰り返し確認され、気象庁は来月1日から発生のおそれのある場合に新たに発表する情報について、詳細を明らかにしました。

それによりますと、情報は「関東甲信」や「九州北部」など全国11の地方ごとに出され、「地方気象情報」や「府県気象情報」などに“線状降水帯が発生する可能性がある”という文言を盛り込んで警戒を呼びかけます。

情報発表のタイミングについて当初、半日前をめどと説明していましたが、「半日前から6時間前まで」と幅を持たせた運用にすると改めたうえで、12時間前と6時間前では雨の状況や住民が避難などにかけられる時間も異なるとして、できるだけ早い時間での発表を心がけるとしています。

また、過去の事例からみた“的中率”は全国で2回に1回程度、地方単位ではおよそ4回に1回程度にとどまり、情報が出ない中で線状降水帯が発生するいわゆる“見逃し”はおよそ3回に2回程度としています。

気象庁は「現在の技術では正確に予測することは難しく、呼びかけを行っても、線状降水帯が必ず発生するわけではないが、大雨になって状況が急激に悪化する可能性は高いと考えている。情報が出されたら危機感を高めてもらい、ハザードマップや避難場所、避難経路を確認するなどして、災害に備えてもらいたい」としています。

気象庁長官 “情報発表時は大雨災害に危機感を”

線状降水帯の発生が予想された場合に、半日前から6時間前までに警戒を呼びかける新たな情報について、気象庁の長谷川直之長官は「この情報が発表されたときには、まず大雨災害に対する危機感を持っていただきたい。災害の危険度を色別で示した『キキクル』をこまめにチェックして、避難経路などを確認してもらいたい。自治体の防災担当者には、避難所の開設の手順や水防態勢の確認など、いつでも防災対応をとれるよう準備を進めてもらいたい」と話しました。

一方で、予測精度が必ずしも高くないことについて聞かれ「正確に予測するのは難しく、“空振り”や“見逃し”もあるだろうが、ひとたび発生すれば災害に結び付く線状降水帯なので、ほかの警報や土砂災害警戒情報などとともに活用してほしい」と述べました。

また当初、「半日前をめど」としていた情報発表を「半日前から6時間前まで」と幅を持たせたことについては「半日前には予測できず時間がたってからわかる情報もあり、具体的な運用を最後まで検討した結果だ。発表時間が多少遅くなってもわかった時点で可能性を伝え、前もって危機感を持ってもらうことに意味があると考えている」と話していました。