ロシアの理事国資格停止の国連人権理事会 侵攻の非難決議採択

ロシアが理事国としての資格を停止された国連の人権理事会で、ロシアによる軍事侵攻によってウクライナの人権状況が悪化したことを非難する決議が賛成多数で採択されましたが、中国は「決議は緊張と対立を招く」などと主張して反対しました。

スイスのジュネーブで開かれる国連人権理事会では先月、ロシア軍が撤退したあとのウクライナの首都近郊などで多くの市民の遺体が見つかったことを受けて、ロシアの理事国としての資格が停止されました。

その人権理事会で12日、ロシアの軍事侵攻は国際人道法違反だと強く非難し、国連の独立委員会が速やかに調査を進めるべきだとする決議案の採決が行われました。

採決に先立ちウクライナの代表は「重大かつ組織的な人権侵害や戦争犯罪、人道に対する罪が刻々と積み上げられている。残虐行為の責任を追及するためさらなる措置を取ることは、私たちの共通の義務だ」と訴えました。

これに対して中国の代表は「決議は公平性も客観性も欠き、事態の平和的な解決ではなく緊張と対立を招く」などと主張しました。

採決の結果、▽ロシアに代わって理事国となったチェコを含む33か国の賛成多数で決議は採択されましたが、▽ベネズエラなど12か国が棄権し、▽ことし3月に同様の決議で棄権した中国は今回エリトリアとともに反対しました。

ロシアは理事国としてではなく決議の関係国として発言を求められましたが、代表は議場に姿を見せず「ロシアの息の根を止めたいという欲望から、欧米はナチズムの復活まで容認するつもりだ」などと、猛烈に反発する声明を出しました。