物価上昇で緊急対策「国民生活守り抜けるよう万全の備え」首相
岸田総理大臣は26日夜に記者会見し、物価の上昇を踏まえた緊急対策を決定したことを説明しました。
原油価格高騰への対策を継続するため、今の国会で補正予算案の成立を図り、いかなる事態が生じても国民生活を守り抜けるよう万全の備えをとる考えを強調しました。
この中で岸田総理大臣は「原油価格や物価の高騰が、コロナ禍からの社会経済活動の回復の妨げになることは何としても防がなければならない。ウクライナ情勢やこれに伴う原油・原材料、穀物の価格高騰などは予断を許さず、先手先手で対応を進めていく」と述べ、経済財政運営に万全を期す考えを示しました。
そして、物価の上昇を踏まえた緊急対策を決定したことに触れたうえで「今月中に、一般予備費やコロナ予備費の使用を閣議決定し、速やかに実施に移し、皆様のお手元に各種の支援策を届ける」と強調しました。
緊急対策では、原油価格高騰への対応として、ガソリン1リットル当たり172円程度としている価格抑制の基準を168円に引き下げたうえで、石油元売り会社への補助金を拡充するほか、低所得の子育て世帯に対し、子ども1人当たり5万円の給付金をプッシュ型で支給するなどと説明しました。
また、政府が買い付け、国内の製粉会社に売り渡す輸入小麦について、ことし9月までの間、価格が急騰する前の水準に販売価格を据え置くとともに、輸入小麦から国産のコメや米粉、国産小麦への切り替えを支援する方針を明らかにしました。
さらに、地方創生臨時交付金を大胆に拡充して1兆円の枠を新設し、地域の実情に応じて行う地方の取り組みを後押しする方針も示しました。
また、岸田総理大臣は6月までに、みずからが掲げる「新しい資本主義」のビジョンと実行計画、それにことしの「骨太の方針」を取りまとめ、夏の参議院選挙のあと、実現に向けた方策を具体化する考えを示しました。
そして「5兆円の『新型コロナウイルス感染症および原油価格・物価高騰対策予備費』などの確保や、6月以降の燃料油価格の激変緩和事業を内容とする補正予算案を、今の国会に提出して成立を図り、いかなる事態が生じても国民生活を守り抜けるよう万全の備えをとる」と述べました。
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感染の再拡大防止へ 主要な駅や空港で無料の検査実施へ
この中で、岸田総理大臣は「3年ぶりに『まん延防止等重点措置』や『緊急事態宣言』のない大型連休となるが、油断は禁物だ。感染の再拡大を防ぎながら、徐々に社会経済活動を回復させていくことができるよう、国民に協力をお願いしたい」と述べました。
そのうえで、国民に対し、連休の機会を利用した積極的なワクチン接種や、マスクの着用や消毒、換気、3密の回避といった基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけました。
また「帰省する人は、その前に3回目のワクチン接種や検査を受けるようお願いする」と述べたうえで、大型連休中、全国の主要な駅や空港で無料の検査を実施する方針を明らかにしました。
そして「引き続き、平時への『移行期間』として、最大限の警戒感を維持しながら徐々に社会経済活動を回復させていく。国民の理解と協力をお願いしたい」と述べました。
“補正予算 予備費は必要”重ねて強調
その上で「予備費を積み増すための補正予算案の編成は国会での監視が甘くなるので慎むべきだという指摘もあるが」と問われ、「今回、設ける予備費は新型コロナと原油価格・物価高騰対策に使いみちは限定しているので、こうした考え方を国会に諮り、丁寧に説明していきたい」と述べました。
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“連休中 東南アジア ヨーロッパを訪問したい”
その上で、今後の首脳外交の進め方について「ロシアによるウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みで、ヨーロッパのみならずアジアを含めて国際秩序全体を揺るがす行為だという考えに基づいて、首脳外交を展開していきたい」と述べました。
一方、日米豪印の4か国でつくるクアッド首脳会合や、アメリカのバイデン大統領の訪日については「実施に向けて調整中だ」と述べるにとどめました。
その上で「ことし6月にドイツで開かれるG7サミット=主要7か国首脳会議の機会を活用し、平和秩序を守り抜く首脳外交を戦略的に展開していきたい。G7を中心にしっかりとした連携を確認することが大事だ。国際社会の連携の重要性への理解を広げていくよう国際世論をリードすることも重要だ」と述べました。