除名処分となったガーシー氏には、国会議員経験者が国会に出入りできる「前議員バッジ」が交付されないことになりました。
「前議員バッジ」は、国会議員経験者から申請があれば交付され、バッジを付ければ、国会に入り、委員会の傍聴などもできます。
参議院議院運営委員会は14日の理事会で、一度も国会に出席しなかったガーシー氏には、バッジを渡す必要はないと判断し、交付しないことを決めました。
衆参両院の事務局によりますと、前議員バッジを交付しないことを決めたのは、公職選挙法違反の罪で有罪判決が確定し、1994年に失職した元参議院議員以来、2人目だということです。
ガーシー参院議員 「除名」で 議員資格失う 参院本会議
国会への欠席を続け、懲罰処分の陳謝に応じなかったガーシー議員は、15日の参議院本会議で除名され、議員の資格を失いました。国会議員の「除名」は、72年前の1951年以来、今の憲法のもとでは3人目です。
政治家女子48党のガーシー参議院議員は、去年7月の初当選のあと、一度も国会に登院しておらず、懲罰処分の「議場での陳謝」に応じなかったことから、参議院懲罰委員会は、14日、最も重い処分で、議員の資格を失わせる「除名」とすることを全会一致で決定しました。
これを受けて、15日に参議院本会議が開かれ、鈴木宗男懲罰委員長が審査の経過を報告しました。
これに対し、党の浜田政策調査会長が「不登院という事情をもって除名処分に至ることは違法だ。少数派を排除する除名は許されない行為だ」などと弁明を行いました。
そして、記名による採決の結果、出席した236人のうち
▽賛成が235
▽反対が政治家女子48党の1で、
「除名」とするのに必要となる3分の2以上の賛成多数で、ガーシー議員の「除名」が正式に決まりました。
これを受けて、尾辻議長が「国会法の規定により、除名する」と宣告し、ガーシー議員は除名され、議員の資格を失いました。
国会議員の「除名」は、72年前の1951年以来、今の憲法のもとでは3人目で、国会への欠席が主な理由となるのは初めてです。
「前議員バッジ」交付されず
“初当選後の給与や期末手当など支給総額は2000万円超”
参議院によりますと、去年7月の初当選のあと、一度も国会に登院しなかったガーシー氏には、議員の給与にあたる歳費やボーナスにあたる期末手当など、あわせて2013万円余りが支給されているということです。
ただ、除名され議員の資格を失ったことから、今月分の歳費と「調査研究広報滞在費」は在職日数に応じた日割りとなり、参議院はすでに支給された今月分のうち68万円余りを返納するようガーシー氏に求めるとしています。
ただ、除名され議員の資格を失ったことから、今月分の歳費と「調査研究広報滞在費」は在職日数に応じた日割りとなり、参議院はすでに支給された今月分のうち68万円余りを返納するようガーシー氏に求めるとしています。
齊藤健一郎氏 繰り上げ当選の見通し
政治家女子48党のガーシー氏が除名され、議員の資格を失ったことを受けて、去年行われた参議院選挙の、当時のNHK党の比例代表の名簿から、齊藤健一郎氏が繰り上げ当選する見通しです。
齊藤氏は名簿順位4位でしたが、党が先月、名簿順位2位の山本太郎氏と、3位の黒川敦彦氏の離党を届け出て名簿から削除されたため、齊藤氏が次点となっていました。
齊藤氏は名簿順位4位でしたが、党が先月、名簿順位2位の山本太郎氏と、3位の黒川敦彦氏の離党を届け出て名簿から削除されたため、齊藤氏が次点となっていました。
齊藤健一郎氏「登院する」
政治家女子48党の副党首で、繰り上げ当選する見通しの齊藤健一郎氏は、記者会見で「私は登院はする。ただ、ガーシー氏が全く国会に来ずに除名となったので、その賛否は今後も問い続けていかなければならない。本会議などには出席するが、所用や、ほかに優先するようなことがあれば、ときに休むことも大手を振ってやろうと思っている」と述べました。
政女 大津党首「必要な議員 とても残念」
政治家女子48党の大津党首は、記者会見で「ガーシー氏は『海外で活躍していく』と言って、30万票近く投票してもらった。発信力があったし、必要な議員だったと思うので、除名されたことはとても残念だ。これからもガーシー氏と協力しながら活動していきたい」と述べました。
政女 浜田政調会長「一方的な報道で世論形成され除名に」
政治家女子48党の浜田政策調査会長は、記者団に対し「『ガーシー議員憎し』の一方的な報道によって世論が形成され、除名に至ったと考えている。私自身は、今後も国会議員として活動してほしいと考え、努力してきたが、それができなかったことについてはガーシー氏と票を入れてくれた皆さんに謝罪したい」と述べました。
自民 世耕参院幹事長 「懲罰に至り大変遺憾」
自民党の世耕参議院幹事長は、記者団に対し「一日も国会に登院することなく、再三の呼びかけや議場での陳謝にも応えることなく、無視し続けた結果として、このような懲罰に至ったことは大変遺憾だ。明確に参議院としての意思を、ほぼ全会派一致した形で表明することができた」と述べました。
立民 田名部参院幹事長「残念だが除名は当然」
立憲民主党の田名部参議院幹事長は、記者団に対し「非常に残念な思いだが、除名は当然だろう。一切登院しなかったのは、全国民の代表という自覚が全くなかったと言わざるをえない。国会で二度とこうした処分が繰り返されないことを本当に願う」と述べました。
維新 藤田幹事長「参院の決定を支持」
日本維新の会の藤田幹事長は、記者会見で「国会議員の身分を重く受け止めて、一回、『議場での陳謝』で登院を促すという手順を踏んでいる。手続き論としては適切で、参議院の決定を支持したい」と述べました。
共産 穀田国対委員長「除名は当然」
共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「国会議員には国民の代表としての重い責務があるが、国会法に違反する行動をとっているので、除名は当然だ」と述べました。
国民 古川国対委員長「国民の信託に応えられる国会に」
国民民主党の古川国会対策委員長は、記者会見で「この間の経緯を踏まえれば当然の帰結だが、最初から『登院しない』と宣言している人が当選した背景には、国民の今の政治への根深い不信感がある。国民の信託に応えられる国会になっているかを改めてこの機会に考え、国会改革を進めていかなければいけない」と述べました。