スギ花粉 東京など 過去10年間で最多の予想 「花粉症手当」も

スギ花粉が飛散するシーズンとなりました。環境省が、全国34の都府県で行っているスギの調査では、東京や神奈川、兵庫など12の都府県で、花粉を飛散させる雄花の芽の数が過去10年間で最も多く、非常に多い量の花粉が飛散すると予想されています。

スギ花粉の飛散量は雄花の芽の数に比例しますが、環境省の調査では、雄花の芽の数は今シーズン、全国34の都府県のうち、東北南部から九州にかけての23の都府県で、過去10年間の平均を上回っています。

特に、福島、東京、神奈川、新潟、富山、石川、京都、兵庫、岡山、鳥取、広島、福岡の12の都府県では、過去10年間で最も多く、花粉の飛散量が非常に多くなると予想されます。

具体的には、平均と比べて、▽福島は178%、▽東京は150%、▽神奈川は194%、▽新潟は184%、▽富山は221%、▽石川は175%、▽京都は166%、▽兵庫は135%、▽岡山は204%、▽鳥取は240%、▽広島は153%、▽福岡は191%となっています。

環境省によりますと、平均を上回っている地域では、去年の夏に日照時間が長く、気温が高い日が多かったことが影響しているということです。

「目が開けられないときも」「薬代が負担に…」

花粉症について東京の有楽町駅前で聞きました。

「花粉症で目がかゆくてつらいです。きょうは症状がいつもより重いと感じます」(50代女性)

「今月の半ばから目がかゆくなりました。そのため、普段はコンタクトレンズを使っていますが、メガネに変えています。症状がひどいときには、朝、起きた直後、目が開けられないときもあります」(40代男性)

「ことしは症状が出始めるのが早かったです。1月ごろに耳鼻科に行くようになり、今は毎月通って薬をもらっています。ワンシーズンで5000円ほどかかります」(20代男性)

「けさも起きてすぐくしゃみが出ました。家族も花粉症に苦しめられています。家族も薬を飲むので薬代が結構高いなと感じています」(30代女性)

花粉症の人 20年間で2倍以上か

日本で花粉症の人がどのくらいいるのか、正確な人数はわかっていませんが、環境省の花粉症マニュアルによりますと、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした全国調査では、花粉症の有病率は増加傾向となっています。

この調査での花粉症の有病率は
▽1998年には19.6%でしたが、
▽2008年には29.8%、
▽2019年には42.5%となっていて、およそ20年間で2倍以上に増えています。

「花粉症手当」支給する会社も

花粉症で仕事の効率が下がるのを防ごうと社員が医療機関を受診した際の費用などを手当として支給する会社も出ています。

健康管理システムを開発する都内の会社では、「花粉症手当」を設け、社員が花粉症で医療機関を受診したり薬を受け取ったりした際の費用の全額を補助しています。

仕事の効率が下がるのを防ごうと5年前に導入したということで、1回の支給額は5000円ほどだということです。

また、マスクやティッシュなども配布しています。

およそ80人の社員のうち半数ほどが手当を受けていて、年間およそ25万円を会社が負担しているということです。
「すごく助かっています。処方された薬のおかげで花粉症の症状に悩まされながら仕事をすることはなくなりました」(50代女性)

大澤直人広報部長「医療機関で診察してもらい、薬をもらうことで、生産性の低下を防ぐことができモチベーションを高く維持して仕事ができていると思います」

医師「飛散が多いと症状が強く 初めて発症する場合も」

花粉症などアレルギー性鼻炎の治療に詳しい千葉労災病院の岡本美孝院長は「去年とおととしは花粉の飛散は比較的少なかったが、ことしの花粉はかなり多いと考えられている。一般的に花粉の飛散が多いと症状が強くなり、これまで症状がなかった人も初めて発症する場合もある」と話しています。

また、「花粉症の症状である鼻づまりやくしゃみなどが仕事の能率に大きく影響を与えるだろうということは従来から言われている。さらに花粉症患者の多くは睡眠障害も訴えていて、日中の仕事での集中力に影響が出るとか昼間に眠気が来るとかそういったことも引き起こされてしまうおそれがある」と指摘しています。
岡本院長によりますと、花粉症対策の基本は、「花粉との接触を避けること」で
▽マスクやメガネを着用することや
▽花粉が付着しやすいウール製の衣類を避けて
 つばの広い帽子をかぶることなどが効果的だということです。

また、症状が出始めた際には
▽ドラッグストアなどにある市販薬を利用するのも1つの手段だということです。

そのうえで、岡本院長は「症状が強い方は専門の医療機関などで治療を受けることが必要になるので早めの受診をおすすめします」と話していました。