避難生活が長引き、被災者の心のケアが課題となる中、子どもたちに笑顔を取り戻してもらいたいと、被災地を回って人形劇を上演している男性がいます。
トルコの首都アンカラの学校で演劇の教師をしているメフメト・イキレルさんは、地震のあと被災地を車で回り、手作りの人形を使って劇を上演しています。
26日も南部ガジアンテプの広場で50人ほどの子どもたちを前にトルコの民話にちなんだ劇を披露しました。
集まった子どもたちはイキレルさんが人形ごとに声色を変えたり、時折手品を見せたりすると、身を乗り出すようにして大きな歓声を上げていました。
13歳の男の子は「地震のあとみんな落ち込んでいて、僕も余震が怖いです。それでも、劇はとても楽しかった」と話していました。
イキレルさんによりますと、避難生活が長引く中、突然叫んだり攻撃的になったりする子どももいるなどストレスを抱えている様子がうかがえるということです。
イキレルさんは「子どもたちがふつうの生活を送れるようになるまで、人形劇を続けていきたい」と話していました。
トルコ・シリア大地震 発生から3週間 被災者の心のケア課題に
今月6日にトルコ南部で起きた大地震は27日で発生から3週間となります。トルコとシリアではこれまでに死者があわせて5万人を超えたほか、トルコでは191万人以上が避難生活を余儀なくされ、被災者の心のケアも課題になっています。
今月6日にトルコ南部で起きたマグニチュード7.8の地震とその後の地震ではこれまでに死者がトルコで4万4374人、隣国シリアで5914人とあわせて5万人を超えています。
地震の発生から27日で3週間となる中、トルコ政府によりますと、191万人以上がテントなどでの避難生活を余儀なくされています。
避難生活が長期化する中で、被災者の心のケアが課題となっていて、トルコ政府によりますと、被災者などへの心的なサポートがこれまでに91万件以上行われたということです。
特に子どもの心のケアは重要で、ユニセフ=国連児童基金はうつ病やPTSD=心的外傷後ストレス障害を発症するおそれがある子どももいるとして支援の必要性を指摘しています。