シリア地震被災地”学校も被害 教育に長期影響懸念” ユニセフ

今回の地震で大きな被害が出ているシリアに駐在するユニセフ=国連児童基金の担当者は、被災地では内戦の影響で燃料や医薬品などがもともと不足していたうえ、再建を進めていた学校も地震で大きな被害を受け、子どもたちの教育にも長期的な影響が懸念されると指摘しています。

10年以上内戦が続くシリアの首都ダマスカスに駐在するユニセフ・シリア事務所の三田みちるさんが12日、オンラインでNHKのインタビューに応じました。

ユニセフのシリア事務所は、地震の発生直後からアサド政権の支配地域を中心に、北部の被災地に給水車を派遣しているほか、子どもたちの心のケアを行う担当者を派遣するなどの支援活動を行っています。

被災地では、地震の前から内戦と経済制裁の影響で燃料や医薬品、毛布などの物資がもともと不足していたということで、三田さんは「被災者は増え続けていて、何もかもが必要な状況だ」と話していました。

また、再建を徐々に進めてきた学校も倒壊するなど大きな被害が出たほか、被害をまぬがれた学校も避難所として利用されるなどしていて、ユニセフでは子どもたちに自習用のキットを配布するなどの支援も始めているということです。
三田さんは「たくさんの子どもたちや被災者がシリアのどこにいても必要な支援を受けられ、一人でも多くの人が助かるよう政治的な立場はいったん置いて国際社会も含めてシリアの人々を助けるために支援していくべきだ」と訴えました。

そのうえで「学校が再開しても経済的に困窮し学校に通えなくなったり、幼い子どもを嫁がせたりするケースが出ることも考えられる」と述べ、子どもたちの教育にも長期的な影響が懸念されると指摘し、息の長い支援が必要だと強調しました。