新型コロナウイルス対策として行われる日常生活でのマスク着用について京都大学の西浦博教授ら厚生労働省の専門家会合のメンバーなどは有効性を示す科学的根拠をまとめた資料を8日開かれた会合で示しました。
資料では、マスクは、会話やせきをする際に他者に感染させないことと、自分が感染しないことが目的で、新型コロナでは発症前の潜伏期間におよそ半数の感染が起き、症状が出ない人からも感染が広がりやすいことが知られているとしています。
その上でマスクの着用の有効性について各国の78件の研究を解析した結果では、マスク着用者の1週間あたりの感染リスクは着用していない人に比べ0.84倍に下がり、2週間あたりだと0.76倍に下がると推定されたとしています。
また、各国の研究21件を解析した結果では、マスク着用がコミュニティ全体で推奨された場合は、新規感染者数や入院患者数、死者数を減少させる効果があることが示唆されたとしています。
さらに資料では各国のマスク着用の状況についてもまとめ、韓国では公共交通機関や病院など一部の施設を除き屋内のマスク着用義務を解除したものの多くの市民が着用を続けているとされるほか、シンガポールでは2022年8月以降、屋内外での着用が義務ではないとされた一方、公共交通機関や病院高齢者施設では必ず着用を推奨、またカナダではマスク着用は個人の選択としながらも屋内の公共スペースでマスク着用が推奨されているとしています。
“学校の式典でマスク無しでも” 厚労省の専門家見解まとまる
卒業式など学校の式典でのマスク着用について、厚生労働省の専門家会合のメンバーなどは「新型コロナの流行が落ち着いた状況では、参列者がマスクを着用しなくてもよいとする対応も考えられる」とする見解をまとめました。
ただ、体調に不安がある人は参加を控えることや、マスクを着用するかどうかについて本人の意思を尊重することが望まれるとしています。
厚生労働省の専門家会合のメンバーなどは、学校の式典でマスクを着用するかどうかの判断の参考にしてもらうための文書をまとめ、8日の会合で示しました。
文書の中では、学校で皆がマスクをすることによって感染リスクを減らす効果が報告されている一方で、一生に一度の行事である卒業式や入学式などの式典ではマスクを外して参加したい気持ちも理解できるとしています。
そのうえで、専門家は「地域の新型コロナの流行が落ち着いた状況では、参列者がマスクを着用しなくてもよいとする対応も考え得る」とする見解を示しました。
一方で、配慮するべきポイントとして、
▽体調に不安がある人は参加を控えることや、
▽参列者どうしの距離をあけること、
▽十分な換気をすること、
▽近くで会話するような機会を避けること、
それに
▽マスクを着用するかどうかについて本人の意思を尊重することなどを挙げ、納得して参加できるようにすることが望ましいとしています。
京大西浦教授ら マスク着用の有効性示す科学的根拠示す
脇田座長「マスク着用 話し合いで合意形成望ましい」
厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で脇田隆字座長は、今後のマスクの着用に関する考え方について「きょうの会合でマスクにどの程度の感染を防ぐ効果があるかという科学的知見をまとめた。こうした情報に基づいて、個人が判断して決めることになるが、集団が集まる場であれば、話し合いで合意が形成されることが望ましい」と述べました。
そのうえで、専門家会合のメンバーなどが示した学校の式典などでのマスクの着用に関する見解について、「『学校の式典はリスクがないからマスクを着用しなくていい』と言っているのではない。一生に一度の卒業式や入学式でマスクを外したいという気持ちも理解できるし、尊重したいが、地域の流行状況が落ち着いていることや、ほかの対策をしっかりとったうえで、マスクを外すこともありうるのではないかという趣旨だ。学校という学びの場で式典におけるマスクの考え方を、生徒だけでなく教員や保護者も話し合ってもらうことが大切ではないか」と述べました。
また、季節性インフルエンザの流行状況について「直近の増加幅は減少していて、地域によって流行状況に違いがあるが、沖縄ではかなり流行レベルが上がってきているので注意が必要だ。新型コロナは落ち着いてきているが再上昇もありうるので、同時流行にも注意していきたい」と述べました。
そのうえで、専門家会合のメンバーなどが示した学校の式典などでのマスクの着用に関する見解について、「『学校の式典はリスクがないからマスクを着用しなくていい』と言っているのではない。一生に一度の卒業式や入学式でマスクを外したいという気持ちも理解できるし、尊重したいが、地域の流行状況が落ち着いていることや、ほかの対策をしっかりとったうえで、マスクを外すこともありうるのではないかという趣旨だ。学校という学びの場で式典におけるマスクの考え方を、生徒だけでなく教員や保護者も話し合ってもらうことが大切ではないか」と述べました。
また、季節性インフルエンザの流行状況について「直近の増加幅は減少していて、地域によって流行状況に違いがあるが、沖縄ではかなり流行レベルが上がってきているので注意が必要だ。新型コロナは落ち着いてきているが再上昇もありうるので、同時流行にも注意していきたい」と述べました。
自民 文科部会 卒業式での着用ルールの緩和要望へ
一方、8日に開かれた自民党の文部科学部会でも、卒業式や入学式などでのマスク着用の在り方について意見が交わされました。
出席者からは、「教育現場に判断を任せると混乱が起きかねない」とか、「科学的根拠に基づき、マスク着用のルールを緩和すべきだ」などといった意見が出されました。
中村裕之部会長は、「卒業式や入学式などは学校教育の重要な一場面であり、政府にマスク着用のルールを緩和するよう求めていきたい」と述べ、部会として、卒業式での着用ルールの緩和を政府に要望する方針を決めました。
出席者からは、「教育現場に判断を任せると混乱が起きかねない」とか、「科学的根拠に基づき、マスク着用のルールを緩和すべきだ」などといった意見が出されました。
中村裕之部会長は、「卒業式や入学式などは学校教育の重要な一場面であり、政府にマスク着用のルールを緩和するよう求めていきたい」と述べ、部会として、卒業式での着用ルールの緩和を政府に要望する方針を決めました。