世界的なEVシフトを受けて、中国やヨーロッパなど海外の主要市場でEVの販売台数は急速に伸びています。
調査会社のマークラインズによりますと、去年1年間に販売された乗用車のEVは、中国が480万台余り、アメリカが80万台に上っています。
乗用車の販売全体に占めるEVの割合も。
▽中国が21%
▽アメリカでも5.8%と、
日本の1.7%を大きく上回っています。
また、ヨーロッパ自動車工業会によりますと、おととし1年間にヨーロッパで販売された乗用車のEVは87万台余りと、前の年より63%と大幅に増え、販売全体に占める割合も9.1%となっています。
このほか、調査会社のマークラインズによりますと、大手メーカーが日本を含む世界の主要市場で、去年1年間に販売したEVの台数は、
▽アメリカのテスラが129万台余りと最も多く、
次いで、
▽中国のBYDが87万台余り
▽アメリカのGM=ゼネラルモーターズが70万台余りと、
海外メーカーが上位を占めています。
日本メーカーは、フランスのルノーと提携している日産自動車と三菱自動車工業が3社合わせて31万台余りで、6位となっているものの、日本メーカーの存在感は高くないのが実情です。
さらに、日本市場そのものも、海外の主要市場と比べるとEVの普及ペースは緩やかです。
日本自動車販売協会連合会などによりますと、去年、国内で販売された乗用車のうち、軽乗用車を含めたEVの台数は5万8000台余りと、前の年より2.7倍の大幅な増加となったものの、販売に占める割合では依然、1.7%にとどまります。
普及が進まない背景には、充電インフラの不足に加えて、電力を火力発電に大きく依存していることがあります。
ただ、今は規模が小さい日本のEV市場に対しても将来の成長を見込んで、海外メーカーが攻勢を強めています。
去年は、ドイツのメルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン、それに韓国のヒョンデ(現代)などが相次いで新モデルを投入し、合わせて1万4000台余りのEVを販売しました。
日本メーカーでは、日産自動車と三菱自動車工業が共同開発した軽自動車サイズのEVが大きく販売を伸ばしたものの、海外メーカーが攻勢を強める中で競争が激しくなっています。
中国 BYD 日本でEV乗用車の販売開始 世界2位のEVメーカー
中国のEV=電気自動車大手、BYDは、1月31日から日本でEVの乗用車の販売を開始しました。世界2位のEVメーカーの参入が日本のEV市場の動向にどこまで影響を及ぼすかが注目されます。
中国のBYDは、世界70余りの国と地域でEVの販売を手がける大手メーカーで、EV市場ではアメリカのテスラに次ぐ世界2位です。
会社は去年7月、日本の乗用車市場への参入を表明していて、31日から、SUV=多目的スポーツ車タイプのEVの販売を開始しました。
1回の充電で走行できる距離はおよそ480キロで、自動ブレーキなどの最新の安全技術も備えています。
価格は440万円で、走行できる距離が同じ程度の国内メーカーのEVよりも100万円ほど安く設定されています。
会社は、このEVを第1弾として、年内に小型車とセダンタイプの合わせて3種類のEVを販売する計画で、本格的に日本市場でのシェア獲得に乗り出す構えです。
横浜市内の店舗で報道向けに開かれた内覧会で、BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長は「少しずつブランド認知を進め、BYDと聞いたらEVと思い浮かべてもらえるように取り組みたい」と述べました。
国内外のメーカーが日本市場にEVを相次いで投入し、競争が激しくなる中で、世界2位のEVメーカーの参入が市場の動向にどこまで影響を及ぼすかが注目されます。