新型コロナの流行状況を把握するため、現在は医療機関や保健所がすべての感染者を報告する「全数把握」が行われていますが、厚生労働省は「5類」に移行したあとは、事前に指定した医療機関に報告してもらう「定点把握」に切り替える方針です。
「定点把握」は季節性インフルエンザで実施されていて、全国およそ5000か所の医療機関が指定され、週に1回、感染者の数や流行状況が公表されています。
厚生労働省は季節性インフルエンザでの方法を参考に、来月上旬の専門家による部会で医療機関の選定方法などについての検討を始め、できるだけ早く方針を示すことにしています。また、新たな変異株の発生など把握するためのゲノム解析による監視については自治体の負担を考慮しつつ継続する方向で検討することにしています。
このほか亡くなった人の数については、現在全国の自治体からの報告や「人口動態統計」をもとに把握していて、厚生労働省は「5類」に移行したあとにどのような方法で把握できるか検討することにしています。
コロナ5類移行決定 医療提供体制など課題 準備急ぐ 政府
新型コロナの感染症法上の位置づけについて、政府は5月8日に「5類」に移行する方針を決めました。移行に向けては、一般の医療機関で患者を受け入れるための医療提供体制などが課題で、政府は自治体とも連携し準備を急ぐことにしています。一方、流行状況の把握方法について、厚生労働省は感染者の「全数把握」から季節性インフルエンザで実施されている「定点把握」に切り替える方針で、来月から専門家による部会で具体的な検討を始めることにしています。
新型コロナの感染症法上の位置づけについて、政府は27日の対策本部で、大型連休明けの5月8日に、今の「2類相当」から、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針を決定しました。
岸田総理大臣は「ウィズコロナの取り組みをさらに進め、あらゆる場面で日常を取り戻すことができるよう着実に歩みを進めていく」と述べました。
「5類」への移行後は、一般の医療機関でもコロナ患者の受け入れや診療ができるようになり、医療ひっ迫の軽減が期待されます。
ただ、一般の医療機関では、患者を受け入れるにあたっての新たな感染防止策の導入や必要な病床確保といった、適切な医療提供体制の構築などが課題となり、政府は自治体とも連携し、準備を急ぐことにしています。
一方、新型コロナの医療費については、患者の負担が急激に増えるのを防ぐため、期限を区切るなどしたうえで公費負担を継続する方針で、医療提供体制と合わせて、3月上旬をめどに具体的な在り方を示すことにしています。
またマスクについては屋内、屋外を問わず、着用を個人の判断に委ねることを基本とするよう見直す方針で、感染状況も見極めながら、見直し時期の検討が進められることになります。
厚労省は感染者の「全数把握」から「定点把握」に変更へ
「5類」移行にあたっての医療の課題とは
現在の「2類相当」では入院できるのが感染症指定医療機関や、都道府県が認めた医療機関に限られているほか、感染対策がとられた発熱外来を中心に診察が行われています。
「5類」に移行後は幅広い医療機関で対応する体制に段階的に移行する方針で、一般の医療機関でも入院の受け入れや診察ができることになるため、医療機関の負担が軽減されると期待されています。
しかし、感染のリスクがある場所とリスクが低い場所を分ける「ゾーニング」など院内での感染対策が不十分な場合などで、患者を受け入れることができない医療機関が出てくることも懸念されています。
このため、院内での感染対策の費用や病床確保の費用といった国が自治体や医療機関に行っている財政支援を継続するかどうかが焦点となっています。
また現在、保健所などが行っている入院調整は一定期間は継続することが必要だという意見があり、個々の医療機関の間で調整する体制に段階的に移行する方針です。
患者が支払う医療費のうち、入院や検査の費用は現在、感染症法の規定で公費で負担されているほか、外来診療にかかる費用や治療薬代なども予算措置で公費負担されています。
「5類」移行後は原則は入院や検査の費用は保険適用以外の費用が自己負担になります。
また、外来診療の費用などの公費負担も減らすことになれば、高額な治療薬の代金を患者が負担することになるほか、受診控えから感染発覚や治療が遅れてしまうケースも懸念されています。
このため、当面は公費での負担を継続した上で段階的に見直していく方針です。
「5類」に移行後は幅広い医療機関で対応する体制に段階的に移行する方針で、一般の医療機関でも入院の受け入れや診察ができることになるため、医療機関の負担が軽減されると期待されています。
しかし、感染のリスクがある場所とリスクが低い場所を分ける「ゾーニング」など院内での感染対策が不十分な場合などで、患者を受け入れることができない医療機関が出てくることも懸念されています。
このため、院内での感染対策の費用や病床確保の費用といった国が自治体や医療機関に行っている財政支援を継続するかどうかが焦点となっています。
また現在、保健所などが行っている入院調整は一定期間は継続することが必要だという意見があり、個々の医療機関の間で調整する体制に段階的に移行する方針です。
患者が支払う医療費のうち、入院や検査の費用は現在、感染症法の規定で公費で負担されているほか、外来診療にかかる費用や治療薬代なども予算措置で公費負担されています。
「5類」移行後は原則は入院や検査の費用は保険適用以外の費用が自己負担になります。
また、外来診療の費用などの公費負担も減らすことになれば、高額な治療薬の代金を患者が負担することになるほか、受診控えから感染発覚や治療が遅れてしまうケースも懸念されています。
このため、当面は公費での負担を継続した上で段階的に見直していく方針です。