日曜日にかけ3月下旬~4月上旬並みの気温に 雪崩などに注意を

上空に暖かい空気が流れ込むため、12日から15日の日曜日にかけて全国的に気温が高くなり、3月下旬から4月上旬並みになると予想されています。気象庁は、積雪が多くなっている地域では融雪が進むおそれがあるとして、雪崩や川の増水、土砂災害に十分注意するよう呼びかけています。

12日から全国的に気温高い

気象庁によりますと、10日までの冬型の気圧配置の影響で、北日本の日本海側を中心に断続的に雪が強まり、北海道では10日、記録的な大雪となりました。

11日は高気圧に広く覆われ、西日本や東日本のほか、北日本の太平洋側でも晴れています。

12日から15日の日曜日にかけては南から暖かい空気が流れ込み、上空1500メートルの空気は平年と比べ10度ほど高くなる見込みです。

このため西日本や東日本を中心に、最高気温が15度から20度程度となるほか、北日本でも10度前後に達するなど、この時期としては非常に高くなり、3月下旬から4月上旬並みになるところが多いと予想されています。

積雪多い地域は融雪が進むおそれ

また、14日から15日にかけては低気圧が通過するため、西日本から北日本にかけて曇りや雨となり、北日本の山沿いなどでは雪が降る見込みです。

気象庁は、これまでに積雪が多くなっている地域では融雪が進むおそれがあるとして、雪崩や川の増水、土砂災害に十分注意するよう呼びかけています。

また、屋根からの落雪や除雪作業中の事故などにも十分注意が必要です。

“春の気温” 気をつけたい融雪災害の注意点は

12日以降、この時期としては記録的な高温が予想される中、積雪の多い地域で、特に注意が必要なのが「融雪災害」です。

雪崩や落雪、土砂災害のほか、雪どけ水が増えると道路が冠水したり、河川が増水したりするおそれもあります。

被害にあわないための、ぜひ知ってほしいポイントをまとめました。

【雪崩の注意点】

まず、雪崩です。
山に積もった雪が斜面を崩れ落ちる現象です。

国土交通省などによりますと、大きく分けて真冬に多く起きる「表層雪崩」と春先に多い「全層雪崩」があり、特に表層雪崩は速度が速く、破壊力が強いため被害の範囲が広くなるということです。

雪崩の発生を月別に見ると、1月から3月にかけてが86%と突出して多くなっています。

雪崩に巻き込まれないためには、「発生しやすい場所に近づかない」ことが何より大切です。

知っておきたい危険な場所は具体的には以下のとおりです。
◇スキーの上級者コースと同程度の急斜面(傾斜30度)
◇「落石注意」の標識が設置
◇高い樹木が無い斜面

雪崩の前に起きる前兆現象には以下のようなものがあります。
◇山の尾根や雪崩予防柵から雪が張り出す(雪ぴや巻きだれなど)
◇雪の塊「スノーボール」が斜面を転がる
◇積雪斜面にひびが入る
◇しわ状の雪の模様が現れる

気温が上昇したり、雨が降ったりする場合や、短期間に多量の雪が降った場合は雪崩が起きやすくなります。

あらかじめ、以下のポイントを確認しましょう。
◇ハザードマップで危険箇所を把握
◇「なだれ注意報」をチェック
◇位置を知らせるビーコンやスマートフォンを携帯
◇捜索に使う「ゾンデ棒」や救助用のスコップも準備

【屋根の上の雪は数百キロ 落雪の注意点】

次に落雪です。
屋根に積もった雪は気温の上昇や雨により、とけて滑りやすくなります。

雪は1立方メートルで重さが100キロ以上、時には500キロに達することもあり、この冬も落雪に巻き込まれて死亡する事故が発生しています。

以下のポイントに注意してください。
◇建物の屋根に雪が積もっていないか確認する
◇特に軒下を歩く際は注意を
◇建物の持ち主は雪やつららを早めに除雪
◇事故時に備えて携帯電話は肌身離さず

屋根にのぼって除雪作業する際には、滑りやすく転落のリスクもあります。

命綱や安全帯をつけて2人以上で行い、休憩をとりながら作業するよう心がけてください。

※命綱をつなぐ「アンカー」などの設置には工事が必要な場合があります。

【土砂災害・道路冠水・河川増水の注意点】

土砂災害は豪雨や地震だけでなく、積雪の多い地域ではとけた雪が地中に浸透して発生することもあります。

12月31日に山形県鶴岡市で発生した土砂災害では、住宅の裏山が崩れて2人が死亡し、現地を調査した専門家は、「風化してもろくなった地層に、雪どけ水や雨水がしみこみ、発生した可能性が高い」と指摘しています。

融雪による土砂災害で注意が必要なのは以下のポイントです。
◇ハザードマップの土砂災害警戒区域などを参考に危険なエリアを確認
◇「融雪注意報」が出ているかチェック
◇前兆現象がみられたら避難を(地鳴り、斜面の亀裂、樹木の傾きなど)

また過去には、雪どけ水で道路が冠水したり河川が増水したりする事例も確認されています。

ふだん利用する道路や近くの川で危険な場所がないか、あらかじめハザードマップなどで確認するようにしましょう。