入管施設で死亡の女性の裁判 収容中の約5時間分映像 国が提出

名古屋出入国在留管理局の施設で亡くなったスリランカ人の女性の遺族が国に賠償を求めている裁判で、収容中の女性の様子を写したおよそ5時間分の映像を、国が証拠として裁判所に提出しました。記者会見した遺族は、「法廷ですべて上映してほしい」と述べ、多くの人に真相を知ってほしいと訴えました。

去年3月、名古屋出入国在留管理局の施設で収容中に体調不良を訴えて亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(33)の遺族は、「入管は違法に収容を続けたうえ、体調が悪化しても必要な医療を提供しなかった」と主張して、国に賠償を求める訴えを名古屋地方裁判所に起こしています。

26日、都内で記者会見した遺族と弁護団によりますと、収容中のウィシュマさんの様子を写したおよそ5時間分の映像を、26日までに国が証拠として裁判所に提出したということです。

これまでの裁判で国は、「検査や専門医による診察などをしたが、体調不良の原因となるような所見はなく、対応は違法ではない」と争っていますが、映像については、裁判所から提出するよう勧告を受けて応じる意向を示していました。

映像には、ウィシュマさんが医療の提供を求める様子などが写っているということです。
ウィシュマさんの妹のワヨミさんは、「非常に残酷で、精神的に耐えられない映像ですが、必要な対応をしていないことがわかるので、法廷ですべて上映してほしい」と述べ、映像を通して多くの人に真相を知ってほしいと訴えました。