試算の結果、10の県で必要とされる医療チームの数は、災害拠点病院や指揮の拠点となる県庁などであわせて1756チームに上りました。
これに対し、全国からすぐに陸路での派遣が可能な医療チームの数が35都府県の600チームと、必要な数の34%にとどまることがわかりました。
南海トラフ地震 医療チームの被災地派遣は必要数の3割余の想定
南海トラフ地震が起きたとき、被災地で医師が大幅に不足するという新たな調査結果です。
東海から九州にかけて甚大な被害が出た場合、全国からすぐに被災地に派遣することのできる医療チームが必要な数の3割余りにとどまると想定されることが、救命救急医の研究グループの試算でわかりました。
南海トラフ地震が起きると最悪の場合、建物の倒壊や津波などによる死者が32万3000人、けが人が62万3000人に上ると想定されています。
甚大な被害の中、必要とされるのが全国からの医療支援です。
災害派遣医療チーム「DMAT」の阿南英明医師らのグループは、特に甚大な被害が想定される東海から九州にかけての10県で必要な医療支援と、派遣が可能な医療チームの数を試算しました。
医療チームは、1チーム当たり医師や看護師など4人で構成されます。
このうち、高知県では必要な150チームに対し派遣できるのが41チーム、
徳島県では必要な120チームに対し派遣できるのが32チームといずれも27%にとどまりました。
また、愛知県でも必要な366チームに対し派遣できるのが106チームで29%となるなど、10の県すべてで、派遣できるチームは必要なチームの50%未満と試算されています。
さらに実際の災害では、道路が寸断されて到着に時間がかかる場合や、自分の地域の被災状況を確認したあとでなければ医師を派遣できない地域もあるため、活動できるチームはさらに少なくなると見られます。
徳島県では必要な120チームに対し派遣できるのが32チームといずれも27%にとどまりました。
また、愛知県でも必要な366チームに対し派遣できるのが106チームで29%となるなど、10の県すべてで、派遣できるチームは必要なチームの50%未満と試算されています。
さらに実際の災害では、道路が寸断されて到着に時間がかかる場合や、自分の地域の被災状況を確認したあとでなければ医師を派遣できない地域もあるため、活動できるチームはさらに少なくなると見られます。
阿南医師は「南海トラフ地震は被災エリアが非常に広いため、医療チームがすぐに支援できない可能性がある。支援が届くまでの間に被災地で医療を継続できる態勢を作っていくことが求められている」と指摘しています。
研究グループの試算 10県の結果
研究グループが試算した10県の結果の詳細です。
必要となる医療チームの数に対し、ほかの都道府県から派遣できるチームの率が低い順に並べています。
▽高知県では必要な150チームに対し派遣できるのが41チームで27%。
▽徳島県では必要な120チームに対し派遣できるのが32チームで、27%。
▽愛知県では必要な366チームに対し派遣できるのが106チームで29%。
▽宮崎県では必要な194チームに対し派遣できるのが57チームで、29%。
▽愛媛県では必要な180チームに対し派遣できるのが57チームで、32%。
▽和歌山県では必要な146チームに対し派遣できるのが52チームで、36%。
▽大分県では必要な114チームに対し派遣できるのが46チームで、40%。
▽静岡県では必要な254チームに対し派遣できるのが106チームで42%。
▽香川県では必要な102チームに対し派遣できるのが43チームで、42%。
そして
▽三重県では必要な130チームに対し派遣できるのが60チームで、46%でした。
必要となる医療チームの数に対し、ほかの都道府県から派遣できるチームの率が低い順に並べています。
▽高知県では必要な150チームに対し派遣できるのが41チームで27%。
▽徳島県では必要な120チームに対し派遣できるのが32チームで、27%。
▽愛知県では必要な366チームに対し派遣できるのが106チームで29%。
▽宮崎県では必要な194チームに対し派遣できるのが57チームで、29%。
▽愛媛県では必要な180チームに対し派遣できるのが57チームで、32%。
▽和歌山県では必要な146チームに対し派遣できるのが52チームで、36%。
▽大分県では必要な114チームに対し派遣できるのが46チームで、40%。
▽静岡県では必要な254チームに対し派遣できるのが106チームで42%。
▽香川県では必要な102チームに対し派遣できるのが43チームで、42%。
そして
▽三重県では必要な130チームに対し派遣できるのが60チームで、46%でした。