ノーベル平和賞授賞式 人権侵害の厳しい現状訴え 人権団体など

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、ことしのノーベル平和賞の授賞式が行われ、受賞したウクライナ、ロシア、そしてベラルーシの人権団体などの代表は、そろって人権が侵害されている厳しい現状を訴えました。

ノルウェーの首都オスロの市庁舎で10日、行われた授賞式では、権力を批判する権利などを推進してきたとして、ベラルーシの人権活動家とロシア、ウクライナの人権団体に、メダルが授与されました。

受賞後のスピーチでウクライナの人権団体「市民自由センター」のオレクサンドラ・マトイチュク代表が、「この場でウクライナ語で演説できることを誇りに思う」と述べると、会場から大きな拍手があがりました。

そして、「平和と人権は表裏一体だ。ジャーナリストを殺害し、平和的なデモを抑え込む国は、自国民だけでなく、地域と世界の平和に脅威を与えている」とロシアなどを厳しく非難し、「いまこそ不処罰の連鎖を断ち切り、戦争犯罪に対する正義の裁きが必要だ。国際法廷を設置し、プーチンやルカシェンコを戦犯として裁かねばならない」と訴えました。
ソビエト時代からロシアなどで人権侵害を調査してきた「メモリアル」の幹部、ヤン・ラチンスキー氏は、「残念ながらロシア社会には国家による暴力の伝統を断ち切る強さがなかった」と述べ、ウクライナ侵攻を止められなかったと無念さをにじませました。

また、ベラルーシの人権活動家、アレシ・ビャリャツキ氏は刑務所に収監されているため授賞式に出席できず、代わって妻のナタリヤ・ピンチュクさんがメッセージを代読し、「ベラルーシでは何千人もの人々が政治的な理由で投獄されているが、自由を渇望する人々の声を止めることはできない」と訴えました。