旧統一教会問題受けた被害者救済法 参院で可決・成立
旧統一教会の問題を受けた被害者救済を図るための新たな法律は、国会会期末の10日、参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。今後は実効性の確保が課題となります。
新たな法律では、法人などが霊感などの知見を使って不安をあおり、寄付が必要不可欠だと告げるなど、個人を困惑させる不当な勧誘行為を禁止しています。
また、野党側がマインドコントロールによる寄付の禁止を求めたことを踏まえ、法人などに対し、個人の自由な意思を抑圧し適切な判断が困難な状況に陥らせないようにするなどの配慮義務を課しています。
さらに罰則も設けられ、禁止行為に違反し、行政の勧告や命令に従わなかった場合には、1年以下の懲役か100万円以下の罰金の刑事罰を科すとしています。
今回、事前の協議で野党側の主張も反映させる異例の形で政府の法案がまとめられ、衆議院では野党側に譲歩して修正が加えられました。
そして、国会会期末の土曜日の10日、参議院の特別委員会に続いて本会議で採決が行われ、自民・公明両党や立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。
共産党やれいわ新選組などは反対しました。
法律は一部を除いて早ければ年明けにも施行される予定で、今後は相談体制の強化などの取り組みを進め、実効性を確保できるかが課題となります。
一方、本会議では、霊感商法などの悪質商法による契約を取り消せる「取消権」を行使できる期間を10年に延長することを盛り込んだ改正消費者契約法なども成立しました。
被害者救済法の概要
新たな法律では、これまで十分に対応できなかった悪質な寄付を規制しています。
具体的には、法人などが霊感などの知見を使って不安をあおり、寄付が必要不可欠だと告げるなど、個人を困惑させる不当な寄付の勧誘行為を禁止しています。
また、個人に借金させたり、自宅などを売らせたりしてまで資金を調達するよう要求することも禁じています。
そのうえで罰則も設けられ、禁止行為に違反し、行政の勧告や命令に従わなかった場合には1年以下の懲役か100万円以下の罰金の刑事罰を科すとしています。
また、個人に借金させたり、自宅などを売らせたりしてまで資金を調達するよう要求することも禁じています。
そのうえで罰則も設けられ、禁止行為に違反し、行政の勧告や命令に従わなかった場合には1年以下の懲役か100万円以下の罰金の刑事罰を科すとしています。
さらに、野党側が、マインドコントロールによる寄付の禁止を求めたことから、法人などに、個人の自由な意思を抑圧し適切な判断が困難な状況に陥らせることや、個人や家族の生活の維持を困難にすることがないようにするなど、配慮義務の規定が設けられました。
配慮義務規定では、自民党と立憲民主党などの協議を経て「配慮」という文言が「十分に配慮」と修正されたほか、義務を怠った場合は法人名を公表することなどが加えられました。与野党は配慮義務規定の実効性が高まったとしています。
このほか、被害者救済に向けて、不当な勧誘行為に基づく寄付に「取消権」を認めるほか、寄付した本人が取り消しを求めない場合でも扶養されている子どもなどに一定の範囲内で「取消権」を認め、本来受け取れるはずだった養育費などを取り戻せるとしています。
また、施行から2年をめどに、見直しを行う規定も設けられています。当初は3年でしたが、修正の結果、短縮されました。
一方、政府は、法案の規制対象について、法人格のない団体も含めると説明しているほか、集められた寄付金の帰属先を組織の幹部などの個人に変えて規制対象から逃れる行為が起きないよう対応を検討していくと説明しています。
配慮義務規定では、自民党と立憲民主党などの協議を経て「配慮」という文言が「十分に配慮」と修正されたほか、義務を怠った場合は法人名を公表することなどが加えられました。与野党は配慮義務規定の実効性が高まったとしています。
このほか、被害者救済に向けて、不当な勧誘行為に基づく寄付に「取消権」を認めるほか、寄付した本人が取り消しを求めない場合でも扶養されている子どもなどに一定の範囲内で「取消権」を認め、本来受け取れるはずだった養育費などを取り戻せるとしています。
また、施行から2年をめどに、見直しを行う規定も設けられています。当初は3年でしたが、修正の結果、短縮されました。
一方、政府は、法案の規制対象について、法人格のない団体も含めると説明しているほか、集められた寄付金の帰属先を組織の幹部などの個人に変えて規制対象から逃れる行為が起きないよう対応を検討していくと説明しています。
旧統一教会「いったん回答控える」
旧統一教会の被害者救済に向けて、悪質な寄付を規制する新たな法律が成立したことについて、旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」の担当者は「他の宗教法人も声明を出されている中であり、いったんは回答は控えさせていただきます。法人としては襟を正して、今後とも変わらず、よりよい教会を目指して改革を進めてまいります」と話しています。
自民 茂木幹事長「実効性のある法律にできた」
自民党の茂木幹事長は、記者団に対し「野党に協力を呼びかけ、ぎりぎりの調整で最終日に成立となった。幹事長レベルでの協議も重ね、できるかぎり野党の意見も反映したものになったと考えており、現行の法体系上、最大限の措置を盛り込んだ実効性のある法律にできた。被害の救済に向け、これからも全力で取り組みを進めていきたい」と述べました。
立民 泉代表「国民のために仕事できた」
立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「法案の影も形もないところからのスタートだったが、国会に被害者や弁護士を招いて問題点を明らかにすることで大きな力をつけ、国民のために仕事をすることができた。被害者の声が実際に伝わって法律の成立に至り、国民が『困っていれば国会で課題を解決してくれる』と実感できたのではないか」と述べました。
維新 馬場代表「被害が繰り返されないための抑止力に」
日本維新の会の馬場代表は、記者会見で「われわれがアクションを起こさなければ、来年の通常国会で議論することになっていたのではないか。理想に少しでも近い法案を練り上げたので、今、この瞬間も犠牲になっている可能性がある国民の役に立てればと思うし、今後、被害が繰り返されないための抑止力になると確信している」と述べました。
公明 山口代表「立法府ならではの合意形成」
公明党の山口代表は、記者団に対し「与野党の知恵や議論の成果を生かし、幅広い合意を作って成立させた努力は、立法府ならではの合意形成のあり方だった。今後、法律の運用で実効性を確保していき、必要であれば、次の見直しの機会も生かすことが大切だ」と述べました。
そのうえで、「NPO法人や宗教法人など、幅広い寄付をもとに活動している健全な団体が萎縮することがない配慮し、健全な寄付文化を育てていくことも重要だ」と指摘しました。
そのうえで、「NPO法人や宗教法人など、幅広い寄付をもとに活動している健全な団体が萎縮することがない配慮し、健全な寄付文化を育てていくことも重要だ」と指摘しました。
共産 小池書記局長「被害者救済にはあまりに不十分」
共産党の小池書記局長は、記者団に対し「被害者救済にはあまりに不十分で、これでは高額な寄付は規制できない。法律の成立で終わりにはできず見直して、実効性のある被害救済制度をつくるべきだ。旧統一教会への解散命令を直ちに裁判所に請求することを政府に求めたいし、自民党と教会の深刻な癒着のうみを出し切らないといけない」と述べました。
国民 玉木代表「『対決より解決』という姿勢そのもの」
国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「与野党が胸襟を開いて法案をつくっていくことは、まさにわれわれの『対決より解決』という姿勢そのものだ。今回の旧統一教会の問題に限らず、与野党がよく議論し合って議会の場で結論を出し、一致点や合意点を見いだしていけるよう国民民主党が先導していきたい」と述べました。