中村哲さん銃撃から3年 東京のアフガニスタン大使館で追悼式

アフガニスタンで長年、人道支援に携わってきた、医師の中村哲さん(当時73)が銃撃され亡くなってから、4日で3年になります。東京都内にあるアフガニスタン大使館では、追悼式が開かれました。
現地では、実権を握るイスラム主義勢力タリバンが捜査をする姿勢を見せてきましたが、進展は見られず、真相解明の見通しは立っていません。

追悼式は在日アフガニスタン人のコミュニティーが開き、中村さんが現地代表を務めていた福岡市のNGO「ペシャワール会」や大使館の関係者など、およそ70人が参加しました。

はじめに参加者が黙とうをささげたあと、アフガニスタンでの中村さんの活動を追ったドキュメンタリーの映像が上映され、中村さんが地元の人と協力しながら、乾いた大地を農地に変えていく様子などが紹介されました。

ペシャワール会の会員でアフガニスタン出身の男性は「中村さんは偉大で、その生きざまを目にして、同じ時代に生きることができたことを幸せに思います。今、再会できたら黙って抱き締めたいです」と話していました。
また、アフガニスタンのアブダリ駐日大使は「中村さんはアフガニスタンが最も困難なときにも一緒にいてくれましたが、今、私たちの国は同じくらい難しい時代にいて、彼が築き上げてきたものが損なわれています。私たちにとって英雄であり、彼の遺志を継ぎ守っていかなければならない」と話していました。

現場を目撃した男性「4~5人の男が待ち伏せし発砲」

中村哲さんは、3年前の12月4日、アフガニスタン東部ナンガルハル州で何者かに銃撃され死亡しました。

事件当日の朝、現場を目撃した男性は、NHKの取材に対し「4~5人の男が待ち伏せをしていて、中村さんたちに向けて発砲した。犯人が現場から立ち去ろうとした時に中村さんが頭を上げ、襲撃した1人が生きていると言って、撃つように声をかけた。中村さんは最初は生きていたが、その後、近づいてきた男に撃たれた」と当時の状況を説明しました。

事件は当初、アフガニスタンの情報機関などが捜査にあたり、去年8月にタリバンが実権を握って以降は、タリバンが捜査をする姿勢を見せてきましたが、進展は見られていないということです。
タリバン暫定政権で報道担当を務めるビラール・カリミ氏は「事件発生直後、もっと証拠や資料をもとに捜査を進めるべきだった」として、当時の政権の初動捜査が不十分だったと主張しました。

事件から3年がたった今も真相解明の見通しは立っておらず、犯人が特定されないまま、捜査の行き詰まりが懸念されています。