多くの人を同時に顔認証 “顔パス”入場可能に 混雑緩和に期待

多くの人たちが集まるイベント会場やオフィスの入り口でも、“顔パス”で入場できる新しい技術が開発されました。多数の人物に対して同時に顔認証を行う技術で、混雑の緩和につながると期待されています。

NECが開発したこの技術は、1台のカメラで多数の人物の顔認証を同時に行うことを実現しました。

イベント会場やオフィスの入り口で、カメラに顔を向けたり、立ち止まったりする必要がなく、混雑の緩和につながるとしています。

その人物の服装も認識したうえで、歩く方向などの動きも予測しながら追跡し、顔が見えた瞬間に認証を行う仕組みです。
公開されたデモンストレーションでは、マスクをつけたままの15人に対して同時に顔認証を行い、登録されていない人物が通り過ぎようとした際には、頭上のディスプレーや足元のライトが赤く表示され警告していました。

1分間に100人以上の認証が可能だということです。

顔認証技術はスマートフォンのロック解除といった身近なものから、虹彩認証などと組み合わせた高度なセキュリティー認証など、さまざまなレベルの技術で実用化が進んでいますが、会社では多数の人物を同時に認証する新たな用途として、再来年度の実用化を目指すということです。
NECバイオメトリクス研究所の宮川伸也所長は「コロナが収束していく中で、混雑が問題になっていく。多くの人が同時に入場する場所で動線を妨げないストレスフリーの生体認証を目指している」と話していました。

顔認証の技術 空港などですでに活用

顔認証の技術は、すでにさまざまな場面で活用が進んでいます。

NECの顔認証は、ドイツの空港で保安検査場や搭乗ゲートの本人確認のために導入されているほか、再来年には顔や指紋、虹彩の認証を組み合わせることで、マレーシアの空港の出入国管理にも導入される予定です。

顔認証のデータは本人の同意のうえで登録しますが、監視社会のリスクにつながるおそれがあるとして、アメリカやヨーロッパでは規制を強化する動きもみられます。

NECでは顔写真をそのまま取得せずに、顔の特徴のデータだけを抽出し、暗号化したうえで管理しているということです。

その一方で、プライバシーや人権に配慮しながらどのように顔認証技術を社会に役立てていくのか、ことし9月には大学との共同研究を始めています。