給食の時、適切な対策を行えば会話は可能だとする通知を文部科学省が出したことについて「黙食」を続けてきた小学校で聞きました。
東京 豊島区駒込にある豊島区立仰高小学校では、3年近く前から給食の時間中、会話を控えてきました。
このうち4年生の教室では、29日も給食の時間になると児童たちが横並びにならないよう、机を互い違いに移動させ、配膳を終えると黙って給食を食べていました。
20分ほどで食べ終わると再びマスクを着けて食器を片づけていました。
女子児童は「1年生の時はみんなで話しながら食べていたので黙食してくださいと言われた時は戸惑いました。今は慣れましたが、話しながら食べるのは楽しみです」と話していました。
男子児童は「好きな漫画の話をしながら食べたいと思います。でも、マスクをせず話をするのは感染したり感染させたりするかもしれないので少し不安です」と話していました。
豊島区立仰高小学校の稲垣昌弘校長は「3年近く黙食を徹底してきたので、子どもたちの中には話しながら食べることに抵抗を感じる子もいると思います。感染者も再び増えている状況なので、まずは小声で会話することから始めて子どもたちの様子をみていきたい」と話していました。
給食時「適切な対策行えば会話は可能」都道府県教委などに通知
新型コロナ対策の基本的対処方針で「黙食」の記述がなくなったことを受け、文部科学省は給食の時の過ごし方について、適切な対策を行えば会話は可能だとする通知を都道府県の教育委員会などに出しました。
政府はこれまで、新型コロナ対策の基本的対処方針で「飲食はなるべく少人数で黙食を基本とする」などと明記していましたが、今月25日の変更でこの記述が削除されました。
これを受け文部科学省は29日、給食の時の過ごし方などについての通知を全国の教育委員会などに出しました。
通知では、基本的対処方針の変更について説明するとともに、文部科学省のマニュアルでも必ずしも「黙食」を求めていないことを改めて伝えています。
そのうえで、「座席配置の工夫や適切な換気の確保などの措置を講じた上で、給食の時間において、児童生徒などの間で会話を行うことも可能」などとして、地域の実情に応じた取り組みを検討するように求めています。
またマスクの着用をめぐっても、児童や生徒の心情に配慮したうえで、マスクを外す場面を設けたり、体育の授業などでは外すように促したりするなどの取り組みも伝えています。
学校での新型コロナ対策をめぐっては、「継続した対策が必要だ」という声がある一方、「黙食やマスクなどが子どもたちのストレスやコミュニケーション不足の一因になっている」という声もあり、意見が分かれています。
東京の小学校「まずは小声で会話することから」
専門家「心配を受け止めつつ徐々に戻していくべき」
子どものメンタルヘルスに詳しい中央大学人文科学研究所の高橋聡美客員研究員は、適切な対策を取れば給食での会話は可能だとする文部科学省の通知について、「コロナ禍で子どもたちのメンタルヘルスが悪化しているというさまざまなデータが出ている。学校で子どもどうしが会話できる時間は給食や休み時間、登下校など意外と短いが、毎日の給食でいろんな子どもたちと話す時間が増えれば友人関係の改善も見込まれ、社会的・心理的な発達にもつながる」と話していました。
一方、今後の給食の在り方については「大人たちもマスクを外せない状況の中、いきなりグループに分かれて真正面でおしゃべりしながら給食するような状況にはならないと思う。まずは黒板の方を向いたままおしゃべりすることを認めるなど、徐々に元のスタイルに戻していくべきではないか」と話していました。
また、周囲の理解も重要だとして「コロナ対策を急に緩和すると、不安になる子どもや保護者もいる。保護者の心配を受け止めつつ学校としての方針を示し、心配な人は気軽に問い合わせできるようなコミュニケーションをとることが重要だ」と話しています。
一方、今後の給食の在り方については「大人たちもマスクを外せない状況の中、いきなりグループに分かれて真正面でおしゃべりしながら給食するような状況にはならないと思う。まずは黒板の方を向いたままおしゃべりすることを認めるなど、徐々に元のスタイルに戻していくべきではないか」と話していました。
また、周囲の理解も重要だとして「コロナ対策を急に緩和すると、不安になる子どもや保護者もいる。保護者の心配を受け止めつつ学校としての方針を示し、心配な人は気軽に問い合わせできるようなコミュニケーションをとることが重要だ」と話しています。