一つは、2030年までの温室効果ガスの削減を加速させることができるかどうかです。
去年のCOP26では、世界の平均気温の上昇を1.5度までに抑える努力を追求することで合意しました。
しかし、各国の現在の削減目標では不十分なことが明らかになっています。
特に、排出量が増え続けている中国など新興国の対策強化につなげられるかが大きな課題となります。
もう一つの焦点は、途上国への資金支援です。
温室効果ガスの削減対策、そして、気候変動による被害を軽減する対策のため、これまで先進国は途上国に対し、年間1000億ドルの支援を約束していますが、実現できていません。
さらに、今回の会議では「損失と損害」に特化した資金支援についても、初めて議論します。
気候変動による「被害」を補償するという考えですが、重い負担につながりかねないとして先進国は否定的です。
途上国への資金支援で進展できるかが鍵となります。
COP27首脳級会合 途上国から深刻化する被害へ資金支援求める声
エジプトで開かれている気候変動対策を話し合う国連の会議「COP27」は7日、首脳級会合が始まり、世界各地で干ばつや洪水など異常気象が続く中、途上国の首脳からは深刻化する被害への資金支援を求める声が相次ぎ、今後の交渉の大きな争点になりそうです。
エジプト東部のシャルムエルシェイクで開かれている「COP27」は、会議2日目の7日、100を超える国の首脳らが参加する首脳級会合が2日間の日程で始まりました。
冒頭、国連のグテーレス事務総長は、「人類には選択肢がある。協力するか滅びるかだ」と述べて国際社会が一致して気候変動対策に取り組むよう訴えました。
そのうえで、世界の排出量の80%を占めるG20=主要20か国が中心になって温室効果ガスの排出削減をいっそう進めるよう呼びかけました。
一方、今回の会議では気候変動の悪影響による「損失と損害」に特化した資金支援について初めて議論されることが決まりましたが、先進国は被害を補償するような支援は重い負担につながりかねないとして否定的な立場です。
こうした中、アフリカ諸国を代表して演説したケニアのルト大統領は、「損失と損害は抽象的な概念ではなく、ケニアやアフリカの人たちの日常の現実だ」と訴え、先進国に支援を迫りました。
世界各地で干ばつや洪水など異常気象が続く中、途上国の首脳からは深刻化する被害への資金支援を求める声が相次ぎ、今後の交渉の大きな争点になりそうです。