福島沖でトラフグの水揚げ増加 県水産資源研究所が飼育試験へ

西日本が主な産地の高級魚のトラフグが、福島県沖でとれるようになっています。
県の研究機関は、水温が低い東北の海域がトラフグの漁場としてどの程度、有望かを調べる飼育試験に乗り出すことになりました。

高級魚のトラフグは、福岡県や山口県など西日本が主な産地で、福島県では2018年まで年間の水揚げ量が1トン未満で推移していましたが、その後、増え始め、去年は27.8トンと3年間でおよそ10倍になり、全国でも上位の水揚げとなっています。

専門家の間では、気候変動に伴う海水温の上昇が要因との指摘も出ていますが、詳しくはわかっていません。

このため、福島県水産資源研究所は、水温の低い東北の海域がトラフグの漁場としてどの程度、有望なのかを調べる飼育試験に来月から乗り出すことになりました。

試験では、冬の福島県沖と同じ程度の水温環境を生けすで再現し、冬を越せる水温や、通常、5月ごろとされている産卵の時期を確かめ、トラフグが寒い地域の海で繁殖するかを調査したうえで、急増している要因についても解明したいとしています。

試験は、来年夏まで続けられる予定で、県水産資源研究所の佐久間徹副所長は、「ここ数年、福島沖で多くとれているが、不明な点も多く、この漁場で冬を越して繁殖している可能性があるかなど詳しく調べたい」と話しています。