▽宿泊と交通機関での移動がセットになった旅行商品は1人1泊当たり8000円を上限に、
▽宿泊施設のみの利用や日帰り旅行では1人5000円を上限に
いずれも料金の40%の割り引きを受けることができます。
また、土産物店などに使えるクーポン券が1人当たり、
▽平日は3000円分、
▽休日は1000円分を受け取ることができ、
平日を手厚くすることで旅行客の分散を促す仕組みとなっています。
利用するには原則として新型コロナのワクチンの3回接種か、検査による陰性証明の書類を提示する必要があります。
11日は外国人の個人旅行の解禁など水際対策も大幅に緩和されることになっていて、今後、観光需要の回復が期待されます。
全国の観光地はコロナ禍で大きな影響を受けただけに、感染対策を徹底しながら観光需要を後押しして、地域のにぎわいの回復につなげられるかが焦点です。
「全国旅行支援」きょうから 地域のにぎわい回復につながるか
コロナ禍で大きな影響を受けた観光業界を支援するため、政府の新たな観光需要の喚起策「全国旅行支援」が11日から始まります。感染対策を徹底しながら観光需要を後押しして、地域のにぎわいの回復につなげられるかが焦点です。
「全国旅行支援」は旅行代金の割り引きを受けられる「県民割」にかわる観光需要の喚起策です。
東京を除く46の道府県は、11日から12月下旬まで、東京都は今月20日から12月20日まで実施される予定です。
専門家に聞く「課題」
観光需要の回復が期待される一方で、課題もあります。
観光分野に詳しい日本総合研究所の高坂晶子主任研究員に聞きました。
Q.日本の観光業の課題は何だと考えていますか?。
A.日本の観光地は週末など休日だけ忙しく、それ以外の平日は暇な時期が多いという構造になっている。繁忙感の高い日が集中するため、需要を平準化することが重要だ。外国人観光客は曜日に関係なく平日も訪れるため、需要の平準化につながることが期待できる。
Q.人手を確保するには、従業員の待遇改善が欠かせないと思うが、そのためにはどうすればいいか。
A.事業者がしっかりと利益を確保して、人材の賃金に回す仕組みをつくることだ。日本は、海外に比べると宿泊・飲食にかかるコストが廉価だ。一方で品質は、維持できているので魅力的な観光地となっているが、やはり、無理をしている部分もあり、利益が上がりにくい経営体質になっている。価格を上げて、適正な利益を確保し、それを従業員の賃上げなどにつなげる必要がある。
Q.対面の接客が主となる観光サービスで、生産性をあげるにはどうしたらいいか。
A.観光や接客といった分野でもデジタル化が重要だ。観光業というと、人と人が接するサービスが重きを占めてきたが、だからといって、すべてをマンパワーに頼ることはない。チェックインの自動化など最新の設備を取り入れることは効果的だ。そのためには、それ相応の資金が必要なので、政府はそういった分野への支援を行う必要がある。
Q.政府は新たな観光需要の喚起策、「全国旅行支援」を始めるが、どういった効果が期待されるか。
A.新型コロナの感染拡大以降、自粛ムードが広がり、あまりおおっぴらに旅行をしてはいけないのだと考えている人も一部ではいたと思う。政府の支援は、「観光してもいい」、「旅行して楽しんでもいい」と消費者の背中を押すという意義も大きいと思う。
Q.以前のGoToトラベルは「感染拡大を招いたのではないか」といった批判もあった。今回は懸念はないか。
A.「全国旅行支援」は、例えば、ある自治体で感染が急拡大をした際に、中止できるなど自治体の裁量が大きく自由度もあるので、そこは望ましいと考えている。一方で制度の窓口となる旅行会社は、自治体それぞれと手続きを行う必要があり、大変な事務作業を担うことになる。手続きはできる限り統一化して、事業者に過度な負担がかからないようにする方法も検討すべきだったと思う。
Q.こうした需要刺激はいつまで続けるべきか。
A.逡巡している消費者の背中を押すことが重要であり、むやみやたらに長く続けるのは望ましいことではない。公金を使うのだから、何回も行く人と全く行かない人で不公平が生じるという指摘もある。効果が出てきたら思い切って幕引きを図ることが必要だ。日本の観光地には十分、競争力があり、需要を喚起できれば、そのあとは支援がなくても十分自立ができる。“旅行へ行くきっかけをつくる”という意味で順調に全国旅行支援が進むことを期待している。
観光分野に詳しい日本総合研究所の高坂晶子主任研究員に聞きました。
Q.日本の観光業の課題は何だと考えていますか?。
A.日本の観光地は週末など休日だけ忙しく、それ以外の平日は暇な時期が多いという構造になっている。繁忙感の高い日が集中するため、需要を平準化することが重要だ。外国人観光客は曜日に関係なく平日も訪れるため、需要の平準化につながることが期待できる。
Q.人手を確保するには、従業員の待遇改善が欠かせないと思うが、そのためにはどうすればいいか。
A.事業者がしっかりと利益を確保して、人材の賃金に回す仕組みをつくることだ。日本は、海外に比べると宿泊・飲食にかかるコストが廉価だ。一方で品質は、維持できているので魅力的な観光地となっているが、やはり、無理をしている部分もあり、利益が上がりにくい経営体質になっている。価格を上げて、適正な利益を確保し、それを従業員の賃上げなどにつなげる必要がある。
Q.対面の接客が主となる観光サービスで、生産性をあげるにはどうしたらいいか。
A.観光や接客といった分野でもデジタル化が重要だ。観光業というと、人と人が接するサービスが重きを占めてきたが、だからといって、すべてをマンパワーに頼ることはない。チェックインの自動化など最新の設備を取り入れることは効果的だ。そのためには、それ相応の資金が必要なので、政府はそういった分野への支援を行う必要がある。
Q.政府は新たな観光需要の喚起策、「全国旅行支援」を始めるが、どういった効果が期待されるか。
A.新型コロナの感染拡大以降、自粛ムードが広がり、あまりおおっぴらに旅行をしてはいけないのだと考えている人も一部ではいたと思う。政府の支援は、「観光してもいい」、「旅行して楽しんでもいい」と消費者の背中を押すという意義も大きいと思う。
Q.以前のGoToトラベルは「感染拡大を招いたのではないか」といった批判もあった。今回は懸念はないか。
A.「全国旅行支援」は、例えば、ある自治体で感染が急拡大をした際に、中止できるなど自治体の裁量が大きく自由度もあるので、そこは望ましいと考えている。一方で制度の窓口となる旅行会社は、自治体それぞれと手続きを行う必要があり、大変な事務作業を担うことになる。手続きはできる限り統一化して、事業者に過度な負担がかからないようにする方法も検討すべきだったと思う。
Q.こうした需要刺激はいつまで続けるべきか。
A.逡巡している消費者の背中を押すことが重要であり、むやみやたらに長く続けるのは望ましいことではない。公金を使うのだから、何回も行く人と全く行かない人で不公平が生じるという指摘もある。効果が出てきたら思い切って幕引きを図ることが必要だ。日本の観光地には十分、競争力があり、需要を喚起できれば、そのあとは支援がなくても十分自立ができる。“旅行へ行くきっかけをつくる”という意味で順調に全国旅行支援が進むことを期待している。