ファイザーが開発した生後6か月から4歳までの子どもに対する新型コロナウイルスワクチンは、アメリカではことし6月に緊急使用の許可が出され、接種が進められています。
ファイザーの発表や、アメリカのCDC=疾病対策センターの会議で示された臨床試験の結果を分析した資料によりますと、3回接種したときのオミクロン株に対する効果は、生後6か月から4歳の子どもで80.3%で、このうち、2歳から4歳では82.3%、生後6か月から1歳では75.5%だったということです。
副反応の程度はほとんどが軽いか中程度で、偽の薬を投与された場合とほとんど変わらなかったとしています。
具体的には、2歳から4歳では、
▽けん怠感が1回目の接種で29.7%、2回目で25.7%、3回目で24.5%
▽38度以上の発熱が1回目の接種で5.2%、2回目で4.9%、3回目で5.1%などとなり、
生後6か月から1歳では、
▽いらいらして機嫌が悪くなった子どもが1回目の接種で51.2%、2回目で47.4%、3回目で43.6%、
▽食欲の減少が1回目の接種で22.2%、2回目で22.2%、3回目で20.2%、
▽38度以上の発熱が1回目の接種で7.2%、2回目で7.4%、3回目で6.8%だったとしています。
新型コロナワクチン 生後半年~4歳も対象に 厚生労働省
新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は生後6か月から4歳までの子どもを対象にしたワクチンの使用を正式に承認しました。今後、必要な手続きを進め、早ければ10月下旬にも接種が始まる見通しです。
子どもへの接種をめぐっては、ことし1月に対象が5歳以上に拡大され、ことし7月には、生後6か月から4歳の子どもも対象に加えるようファイザーから承認の申請が行われました。
5日夜に開かれた厚生労働省の専門家による部会では、生後6か月から4歳の子どもを対象にしたワクチンについて、体の中で作られるウイルスの働きを抑える「中和抗体」の値の上昇など有効性が確認されたと評価しました。
また安全性については、臨床試験の結果から重大な懸念は認められないとしてこのワクチンを使用することを了承し、その後、厚生労働省が正式に承認しました。
これまでワクチンの対象年齢は、モデルナとノババックスが12歳以上、ファイザーが5歳以上となっていて、5歳未満の子どもへの接種は初めてとなります。
有効成分の量は大人のワクチンの10分の1で、3回の接種が必要とされ、3週間あけて2回目を接種した後、少なくとも8週間あけて3回目を接種するとしています。
厚生労働省は10月下旬から11月下旬にかけておよそ700万回分のワクチンを自治体に配送する計画で、今後、無料で受けられる公的接種に位置づけたうえで、早ければ10月下旬以降接種が始まる見通しです。
専門家「利益と副反応リスク 比べて接種するか決定を」
小児科の医師でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「多くの人が新型コロナウイルスに感染している中で子どもたちへの感染も広がり、重症化する子どもや亡くなった子どもも出てきている。ワクチンで新しい武器を子どもたちに与えることができるわけで、選択肢が増えたのは朗報だ」と述べました。
ワクチンを接種するかどうかは、ワクチンによって得られる利益と副反応のリスクを比べて決めるべきだとしたうえで、「新型コロナに感染したときには重症化するリスクがある一方、副反応のことを考えないといけない。メッセンジャーRNAワクチンは副反応が少し強いが一過性のものだ。感染すると重症化しやすい先天性の免疫不全や心臓の病気など、基礎疾患のある子どもは最優先で接種したほうがいい。また、学習塾や保育所、おけいこごとなどで不特定多数の人たちと集まる機会のある子どもも、自分や周囲の人を守るために、ワクチンの接種を考えたほうがいいと思う」と話しています。
ワクチンを接種するかどうかは、ワクチンによって得られる利益と副反応のリスクを比べて決めるべきだとしたうえで、「新型コロナに感染したときには重症化するリスクがある一方、副反応のことを考えないといけない。メッセンジャーRNAワクチンは副反応が少し強いが一過性のものだ。感染すると重症化しやすい先天性の免疫不全や心臓の病気など、基礎疾患のある子どもは最優先で接種したほうがいい。また、学習塾や保育所、おけいこごとなどで不特定多数の人たちと集まる機会のある子どもも、自分や周囲の人を守るために、ワクチンの接種を考えたほうがいいと思う」と話しています。