Jアラートはどう伝わったのか 北朝鮮 弾道ミサイル発射

4日午前7時半ごろ東京 新島村の住宅で鳴ったJアラート=全国瞬時警報システムのサイレンです。

Jアラートを政府が発信したのは5年前、2017年以来。ふだんは接する機会が少ない情報ですが、具体的にどのような形で地域の人たちに届いたのでしょうか。

聞き慣れない警報音が…

この住宅では部屋の中に防災行政無線の個別受信機を設置していて、サイレンのあと「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、または地下に避難してください」という音声が流れました。

住宅に住む女性によりますとこの受信機は村から各家庭に無償で配布されたもので、ふだんは夕方になると村役場からのお知らせや連絡船の運航情報が流れているということです。

女性
「聞き慣れない警報音だったので最初は端末から音が出ているのかもわかりませんでした。すぐにミサイルの発射を知らせる音とわかりましたが、とても驚きました。家の中にいたのでそのまま過ごしました」

どの地域に発信された?

今回、最初にJアラートの情報が出されたのは午前7時27分。
北朝鮮からミサイルが発射されたとみられるという情報で、北海道と、東京都の島しょ部の2町7村(大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村)が対象でした。

このあと7時29分には同じミサイル発射の情報を、青森県と東京都の島しょ部の2町7村に対して伝えています。

そして7時42分には、ミサイルが太平洋へ通過したとみられるという情報を北海道と青森県を対象に伝えました。

このうち東京の島しょ部について政府は午後の記者会見で「ミサイルに注意が必要な地域ではないにもかかわらず、ミサイルが発射された旨の情報伝達が行われた」と、誤って発信されていたことを明らかにしました。

スマホで情報を受け取った人も

函館市に住む女性は朝ご飯を終え、小学生の子どもを学校に送り届ける準備をしていた時、家じゅうのスマートフォンが大音量で鳴り始めました。

画面を見ると「緊急速報」という通知が表示されていたそうです。
女性
「聞き慣れない音が急に鳴ったのでびっくりしました。学校から連絡がなかったため、子どもはいつもどおり学校に送り届けました」

SNSでも携帯電話事業者から対象のエリアにいる利用者に送信される通知に驚いたというツイートが相次ぎました。

「大きな音が鳴って子どもが泣きだした」
「びっくりして目が覚めた」
「音にドキッとしてしまう」

そもそも、どこにどうやって届く?

Jアラートは防災や国民保護に関する情報を、人工衛星を通じて瞬時に自治体に送るものです。

今回のような弾道ミサイル発射の情報のほか、緊急地震速報や津波警報などが想定されています。

このうち弾道ミサイルに関する情報については「日本の領土・領海に落下する」か「日本上空を通過するおそれがある」と判断された場合に、注意が必要な地域に伝えられます。

私たちがこの情報を受け取る手段はいくつかあります。
まず自治体が設置している防災行政無線で知る方法です。

屋外スピーカーからサイレンや注意の呼びかけが流れるほか、自宅に受信機を設置している場合は、自動的に起動して情報を伝えてくれます。

またスマートフォンや携帯電話で知る方法もあります。
携帯電話事業者から対象エリアにいる利用者に対して一斉に伝えられたり、それぞれの自治体から、事前に登録している人に対してメールが届いたりします。

このほかテレビやラジオ、インターネットなどで知る方法もあります。

私たちはどうすれば?

では、Jアラートの通知を受け取ったとき、私たちはどうすればいいのか。

緊急時の情報伝達などが専門の日本大学危機管理学部の福田充教授に話を聞きました。
福田充教授
「ミサイルが発射されたかどうかは目で見て知ることができないので、Jアラートのような情報が命です。発射された時点では日本の上空を通過するのか、手前なのか、太平洋に落ちるのかは分かりません。ミサイルにもよりますが、Jアラートの情報が届いてから残された時間は数分、数十秒かもしれないという中ですので、すぐに行動することが大事です。例えば屋外にいる場合は、近くにある頑丈そうな建物や地下鉄などの地下に入る。屋内にいる場合は外には出ないのが原則です」
また、海上自衛隊の元海将で金沢工業大学虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授は正しく恐れることが大事だと話します。
伊藤俊幸教授
「日本は残念ながら北朝鮮のミサイルの発射実験場と重なっている。日本海には飛距離の短いミサイル、太平洋側への発射もひとつ間違えるとグアムの側に向かってしまうので日本の上空を越える形で発射する。このため日本の方にミサイルが飛んでくるが、基本的に何かあった場合、万が一日本にあたるような場合は自衛隊がそれを迎撃する体制を取っていますので、ある意味、正しく恐れることが必要だと思います」