SNSで拡散の災害画像 “AIが生成した偽画像”も 専門家が警鐘
台風15号による豪雨をめぐり、ドローンで撮影した静岡県内の災害の様子だとする画像がSNS上で拡散しましたが、NHKの取材に対し投稿者は「AIが画像を生成するサービスを使った」などとして偽の画像であることを認めました。
専門家は「AIの技術はあたかも実際の災害のような画像さえも作り出せることを認識する必要がある」と注意を呼びかけています。
台風15号による豪雨の影響で、静岡県で浸水などの被害が出る中、26日ツイッターにドローンで撮影した静岡県内の災害の様子だとする画像が投稿されました。
画像では住宅地が広い範囲で浸水しているような様子が見え広く拡散されましたが、信頼性についての指摘が相次ぎ、NHKの取材に対し投稿者は「AIが画像を生成するサービスを使った」などと偽の画像だということを認めました。
情報セキュリティーが専門の国立情報学研究所の越前功教授によりますと、投稿者が使ったとされるサービスは入力した文章に沿った画像をAIが生成するもので、注意深く見れば不自然な箇所は見つかるものの画質が悪いと判別がしづらく、手軽に巧妙な偽の画像を作り出せてしまうということです。
投稿画像を改めて確認すると、ビルのような建物が不自然な形をしているほか、静岡県内でここまで大規模な氾濫は発生していなかったことなどを知っていれば、疑わしい画像だと気づけそうなポイントがあります。
災害時のSNSを巡っては、6年前の熊本地震の際に「動物園からライオンが逃げ出した」などとうその内容をツイッターに投稿して動物園の業務を妨害したとして偽計業務妨害の疑いで逮捕者もでています。
また災害時の被災地の画像が誤っている場合、被災者が避難の判断を間違えてしまったり、確認のため防災機関に負担がかかったりします。
越前教授は「AIの技術を使うとあたかも実際の災害のような画像さえも作り出せることがわかった事案だ。SNSのユーザーである私たちが認識する必要があり、シェアする時は情報源などをしっかりと確認してほしい」と話しています。