この調査は、東京海洋大学や名古屋大学、それに海外の大学などで作るグループが8月5日から行っているもので、アメリカの民間企業の高性能有人潜水艇、「リミッティングファクター号」で日本周辺の水深6000メートルよりも深い「超深海」での調査を進めています。
8月13日、午前11時51分にメンバーの1人で地質学が専門の名古屋大学大学院、道林克禎教授とパイロットのヴィクター・ヴェスコヴォさんが乗った潜水艇が、小笠原海溝の最深部、水深9801メートルに到達することに成功したということです。
グループによりますと日本人としては、1962年に海洋物理学者の佐々木忠義氏がフランスの潜水艇「アルシメード号」で千島・カムチャツカ海溝の水深9545メートルに到達したのが、最も深いとされていて、この記録を250メートル以上更新したということです。
小笠原海溝は、これまで最深部で水深9780メートルとされていましたが、今回はさらに21メートル深かったということで、今後、岩石の映像記録などを詳しく分析するということです。
道林教授は「60年前の記録を超える所まで潜ったことは大変名誉なことだ。小笠原海溝は日本列島ができた際の最初の記録が残される場所だと考えられていて、直接観察できたことで、日本列島の成り立ちを知る手がかりになるはずだ」と話していました。
グループでは9月19日まで、調査を行う予定だということです。
日本人初 水深9801メートルの深海に到達 最深記録60年ぶり更新
潜水艇を使って日本周辺の深海調査を行っている東京海洋大学や名古屋大学などのグループが8月、小笠原海溝で、日本人としては初めて水深9801メートルの深海に到達することに成功しました。グループによりますと60年ぶりに日本人としての最深記録を更新したということです。
名古屋大 道林教授 「超深海は最後のフロンティア」
日本人として最も深い水深9801メートルの潜航に成功した名古屋大学大学院の道林克禎教授がNHKの取材に応じました。
道林教授は、水深9801メートルの世界について「海溝の底は非常に平たんで、ふわふわの白っぽい泥で覆われていました。毛布で地面を覆っているようなくぼみもあって、泥に覆われている景色が光の届かないところまでずっと続いていました」と説明しました。
そして「こんな所まで来たんだというのが正直な感想でした。以前からいちばん深い海溝に行きたいという思いで研究してきたので、到達できたことがいちばんうれしかったです」と喜びを語りました。
道林教授は、海溝の最深部に到達できた際には、月面着陸に成功したアポロ11号のアームストロング船長のように印象的なことばを言おうと考えていたということですが、その瞬間について、「『わあ来ちゃったんだ』という気持ちで、『わお』という感嘆符みたいな声が出ました。すごい深いところに潜っているなと、ついに着いたという思いで、心の中で小さくやったぞとガッツポーズをするような気持ちでした」と振り返りました。
そして、超深海の調査について道林教授は「令和になって新しい記録が生まれたことで超深海に興味を持ってもらいたい。超深海はほとんど研究が進んでおらず最後のフロンティアであって、そこに潜って直接、観察するというのはまるで地球という惑星の惑星探査のような気持ちになるのですごく楽しいです」と話していました。
道林教授は、水深9801メートルの世界について「海溝の底は非常に平たんで、ふわふわの白っぽい泥で覆われていました。毛布で地面を覆っているようなくぼみもあって、泥に覆われている景色が光の届かないところまでずっと続いていました」と説明しました。
そして「こんな所まで来たんだというのが正直な感想でした。以前からいちばん深い海溝に行きたいという思いで研究してきたので、到達できたことがいちばんうれしかったです」と喜びを語りました。
道林教授は、海溝の最深部に到達できた際には、月面着陸に成功したアポロ11号のアームストロング船長のように印象的なことばを言おうと考えていたということですが、その瞬間について、「『わあ来ちゃったんだ』という気持ちで、『わお』という感嘆符みたいな声が出ました。すごい深いところに潜っているなと、ついに着いたという思いで、心の中で小さくやったぞとガッツポーズをするような気持ちでした」と振り返りました。
そして、超深海の調査について道林教授は「令和になって新しい記録が生まれたことで超深海に興味を持ってもらいたい。超深海はほとんど研究が進んでおらず最後のフロンティアであって、そこに潜って直接、観察するというのはまるで地球という惑星の惑星探査のような気持ちになるのですごく楽しいです」と話していました。