アフガニスタン難民男性「家族は命の危険 早く日本に退避を」
アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが権力を掌握してから、15日で1年です。前政権で官僚として働き、現在、日本で難民として暮らすアフガニスタン出身の男性がNHKの取材に応じ「タリバンが権力を握って以降、家族は命の危険にさらされている。できるだけ早く日本に退避させたい」と訴えました。
アフガニスタンでは去年8月15日、タリバンが首都カブールを制圧し、その後、暫定政権を発足させました。
暫定政権は、みずからの解釈によるイスラム法に基づいた統治を進めていて、日本の中学校と高校にあたる学校に通う女子生徒の授業については「環境が整っていない」などとして、今も認めていません。
前政権下で官僚として働いていた男性は、経済学を学ぶために、日本に留学中の去年8月、タリバンが首都を制圧したため帰国できなくなり、去年、日本で難民申請をしました。現在、関東地方で暮らしています。
この男性は、タリバンが抑圧している少数民族の出身で、女子学生のための学校を設立するなど、女性教育の推進にも熱心に携わってきたといいます。
男性の父親やきょうだいはアフガニスタンにいるということですが、タリバンに見つからないよう、2、3週間に1度のペースで住む場所を変えざるをえないということで、男性は身の安全を確保するためにも、家族を日本に呼び寄せたいと考えています。
しかし、外務省によりますと、アフガニスタン人が日本に入国するためには、原則として留学や就労など、中長期の在留資格を取らなければならず、留学先や就労先がなければ資格を得ることはできないということです。
男性は「タリバンが権力を握ってからの1年間、親族には殺されたり逮捕されたりした人もいる。命の危険があります。家族が日本にできるだけ早く退避できることを望んでいます」と訴えていました。
専門家「短期滞在の在留資格発給されるべき」
アフガニスタン人の日本への退避を支援している千葉大学の小川玲子教授は「命を守るために、ウクライナ避難民への配慮は日本として取るべき対応だ」としたうえで、「アフガニスタンの人も、迫害のおそれがあるために国外に退避したいという現状は、ウクライナの人と同じだ。アフガニスタンの人にも柔軟に、短期滞在の在留資格の発給がされるべきだ」と指摘しています。