青森・秋田で記録的大雨 前線停滞 雨が長く続くおそれも

停滞する前線の影響で、青森県や秋田県では平年の8月1か月分を上回る記録的な大雨となり、東北北部では11日にかけて非常に激しい雨が降るおそれがあります。前線は向こう1週間程度、北日本付近に停滞する見込みで雨が長く続いて記録的な大雨の範囲がさらに広がるおそれもあり、土砂災害や川の氾濫に引き続き厳重に警戒が必要です。

青森 秋田 24時間雨量 観測史上最多のところも

気象庁によりますと北日本付近にのびる前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、青森県や秋田県など東北北部では雨雲が発達して断続的に激しい雨が降っています。

午前8時までの1時間には国土交通省が秋田市の河辺岩見に設置した雨量計で30ミリの激しい雨を観測しました。

各地で記録的な大雨となっていて、24時間の最大の雨量は
青森県の▽深浦町で325ミリ、
▽鰺ヶ沢町で202.5ミリ、
秋田県の▽八峰町で202ミリといずれも観測史上最も多くなり、平年の8月1か月分の1.5倍を超えているところもあります。

これまでの雨で、青森県と秋田県では土砂災害の危険性が非常に高まり「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があるほか、青森県では各地で川の水位が上がり、一級河川の岩木川でも洪水の危険性が非常に高まっているとして「氾濫危険情報」が発表されています。

前線の長期間停滞 記録的大雨のおそれ

今後の見通しです。

東北の日本海側を中心に北日本ではこのあとも雨が降り続ける見込みで、11日にかけて雷を伴って1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。

11日朝までの24時間に降る雨の量はいずれも多いところで
▽東北北部で150ミリ、
▽北海道と東北南部で100ミリ、
▽新潟県で50ミリと予想されています。

さらに12日朝までの24時間には
▽東北北部と北海道で100ミリから150ミリ、
▽東北南部と新潟県で50ミリから100ミリの雨が降ると予想されています。

前線は今月16日ごろにかけて北日本付近に停滞すると見込まれ、東北地方を中心に雨が弱まったとしても再び強まる可能性があるほか、長く降り続いて記録的な大雨の範囲がさらに広がり、災害が発生する危険性が高まるおそれがあります。
気象庁は引き続き土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に厳重に警戒するとともに、落雷や竜巻などの激しい突風、それに「ひょう」にも注意するよう呼びかけています。

すでに記録的な大雨となっている東北北部では地盤が緩み、川の水位が高い状態が続いています。

川や崖の近くなど災害の危険が予測される地域に住む人は雨が弱まったりやんだりしても油断することなく、自治体の避難情報などを確認して安全な場所で過ごすようにしてください。

「前線の停滞」 なぜ1週間程度も

気象庁は、北日本付近で1週間程度にわたって雨が降り続き、災害のリスクが高まるとしています。

その大きな原因の1つが「前線の停滞」です。

なぜ1週間程度も前線が停滞し続けるのか。

それは、日本の東の太平洋高気圧と日本の北の低気圧がいずれも勢力を保ったままその場にとどまる予想となっているためです。

暖かい空気を伴った高気圧と寒気を伴った低気圧の間に沿うように前線が停滞する見込みで、その停滞する場所が東北北部など北日本付近と予想されています。

さらに、この前線に向かって太平洋高気圧のふちを回るように暖かく湿った空気が流れ込み続ける見込みです。

このため気象庁は、東北の日本海側など前線の周辺では雨量が多くなり、先週のような大雨が降ってもおかしくない状況だとして警戒を呼びかけています。

「長雨蓄積型」の災害にも警戒必要

東北北部を中心に予想される大雨では、短時間に激しく降る雨による災害に加え長期間の雨による、いわゆる「長雨蓄積型」の災害にも警戒が必要です。

青森県などでは10日にかけて断続的に雨が強まる見込み

気象庁によりますと青森県などではすでに記録的な大雨となっていますが、さらに10日にかけて断続的に雨が強まる見込みです。

地盤が緩んでいたり川の水位が上がっていたりする地域で、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降ると、その雨が「最後の一押し」となって大規模な災害につながるおそれもあります。

急激に雨が強まっているときはすぐに安全を確保することが必要です。

長時間の雨によって引き起こされる「長雨蓄積型」

一方、今回の大雨では長時間の雨によって引き起こされる「長雨蓄積型」の災害にも警戒が必要です。

今回、前線の停滞は今後1週間ほど続き雨は強弱を繰り返しながら総雨量が多くなる見込みです。

過去にはそれほど強くない雨が長く降り続く状況でも大きな災害がたびたび起きています。

去年7月に静岡市熱海市で発生した土石流では、1時間に30ミリ以上の激しい雨は観測されていません。

数日にわたって雨が降り続き、結果的に総雨量は389ミリと平年7月1か月分の1.5倍以上に達しました。

2018年の西日本豪雨で土砂災害が相次いで発生した広島県呉市でも、10ミリ前後の雨が降り続き、時折50ミリ以上の非常に激しい雨が降りましたが、ほとんどはふだん経験するような雨でした。

住民も「危機感を持つことが難しかった」と話しています。

青森県や秋田県などではこれまでの大雨ですでに土砂災害や川の氾濫の危険が高まっています。

雨が強まることによる急激な状況の悪化に警戒するだけでなく、雨が弱まったとしても長く降り続く雨による「長雨蓄積型」の災害にも警戒するようにしてください。