そして、核兵器廃絶を目指す日本の現実的な行動計画として、5つの柱からなる「ヒロシマ・アクション・プラン」を表明しました。
具体的には
◇核兵器不使用の継続の重要性を訴えていくとともに、
◇核保有国に核兵器に使われる核物質の生産状況の情報開示を求めるなど、核戦力の透明化を促すとしています。
また、
◇核兵器を減らすため、アメリカとロシア、アメリカと中国の対話を後押しするとともに、核実験を全面的に禁じるCTBT=包括的核実験禁止条約の発効を目指す首脳級の会合を、9月の国連総会にあわせて日本が主催するとしています。
さらに
◇北朝鮮の核・ミサイル問題などに取り組むほか、
◇世界の若者に広島や長崎を訪問してもらうため、国連に1000万ドルを拠出し、基金を創設するとしています。
このほか、核軍縮をめぐって広島に各国の首脳らを招く「国際賢人会議」を11月23日に開催する日程を明らかにしました。
岸田首相「核戦力透明化を」NPT再検討会議で演説 行動計画表明
岸田総理大臣は、日本時間の2日未明、NPT=核拡散防止条約の再検討会議で演説しました。
核保有国に核戦力の透明化を促すなど、日本の行動計画を表明し、NPT体制の維持・強化に向けて各国に建設的な対応を呼びかけました。
岸田総理大臣は、アメリカ・ニューヨークの国連本部で始まったNPTの再検討会議に日本の総理大臣として初めて出席し、英語で演説しました。
冒頭、岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略の中で核による威嚇が行われ、核兵器の惨禍が再び繰り返されるのではないかと、世界が深刻に懸念している。『核兵器のない世界』への道のりは、いっそう厳しくなっている」と述べ、核軍縮をめぐる現状が厳しさを増しているという認識を示しました。
その上で「NPTは、軍縮・不拡散体制の礎石として国際社会の平和と安全の維持をもたらしてきた。会議が意義ある成果を収めるため、協力しようではないか。わが国は、ここにいる皆さまとともにNPTをしっかり守り抜いていく」と述べ、NPT体制の維持・強化に向けて各国に建設的な対応を呼びかけました。
そして、岸田総理大臣は、来年、日本が議長国として被爆地・広島でG7=主要7か国首脳会議を開くことに触れ「広島の地から、核兵器の惨禍を2度と起こさないとの力強いコミットメントを世界に示したい」と訴えました。
最後に、みずからが折った一羽の折り鶴を手で掲げながら「折り鶴は、世界中で平和と『核兵器のない世界』を祈る象徴となっている。志を同じくする世界中の皆さまとともに歩みを進めていく」と決意を示しました。
最後に、みずからが折った一羽の折り鶴を手で掲げながら「折り鶴は、世界中で平和と『核兵器のない世界』を祈る象徴となっている。志を同じくする世界中の皆さまとともに歩みを進めていく」と決意を示しました。
岸田首相「理想に向け第一歩」
岸田総理大臣は、演説のあと記者団に対し「各国とともに日本もNPTを守り抜いていくという強い決意を示すことがまず大事だと思い、スピーチを作った。『核兵器のない世界』という理想に向けて、現実的なロードマップをしっかり示していく。そのための第一歩として『ヒロシマ・アクション・プラン』という5つの行動を示した」と述べました。
その上で「このスピーチを来年の『G7広島サミット』につなげるためにも、まずは今回のNPTの運用検討会議で、ぜひ具体的な成果を出すために、しっかり努力していきたいと思っている」と述べました。
その上で「このスピーチを来年の『G7広島サミット』につなげるためにも、まずは今回のNPTの運用検討会議で、ぜひ具体的な成果を出すために、しっかり努力していきたいと思っている」と述べました。
サーロー節子さん「うれしく誇らしく思う」
広島で被爆し、世界各地で被爆体験を語る活動を続けているサーロー節子さんが1日、NPT再検討会議が開かれているニューヨークの国連本部でメディアの取材に応じ、岸田総理大臣が日本の総理大臣として初めて演説したことについて「うれしく、誇らしく思う。広島から選ばれているという自覚もあると思うので、核廃絶に向けて運動している市民の声に耳を傾けてほしい」と述べました。
一方で「きれいな言葉を並べて聞こえはいいが、被爆者が願っていることをどこまで考えているのか実感できない」と述べ、日本政府が主体的に核軍縮に向けた行動をとるべきだと訴えました。
また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻については今も多くの人が犠牲になっているとロシアを非難した上で「核があるから解決策を見いだせていない。今回の軍事侵攻で核軍縮の必要性が明らかになった」と指摘しました。
一方で「きれいな言葉を並べて聞こえはいいが、被爆者が願っていることをどこまで考えているのか実感できない」と述べ、日本政府が主体的に核軍縮に向けた行動をとるべきだと訴えました。
また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻については今も多くの人が犠牲になっているとロシアを非難した上で「核があるから解決策を見いだせていない。今回の軍事侵攻で核軍縮の必要性が明らかになった」と指摘しました。
日本被団協 田中代表委員 “悪くはない演説”
NPT=核拡散防止条約の再検討会議で、岸田総理大臣が日本の総理大臣として初めて演説したことについて、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳代表委員が2日、NHKの取材に応じ「被爆の実相を世界中に知ってもらうということはわれわれが常に主張してきたことであり、それに触れたことを踏まえると、悪くはない演説だった」と評価した一方「核兵器禁止条約について批准すると言うことは難しいかもしれないが、関心を持っていることくらいは言ってほしかったので、全く言及がなかったことは残念だ」と述べました。
また、国連のグテーレス事務総長が今月6日に広島を訪問し、平和記念式典に出席すると表明したことについて「核兵器の非人道性を訴え、核廃絶に世界で向かっていくことを広島で約束し、それを世界が求めていることを発信してくれると期待している」と述べました。
また、国連のグテーレス事務総長が今月6日に広島を訪問し、平和記念式典に出席すると表明したことについて「核兵器の非人道性を訴え、核廃絶に世界で向かっていくことを広島で約束し、それを世界が求めていることを発信してくれると期待している」と述べました。
広島県被団協 佐久間理事長「被爆者の声を聞いているのか疑問」
NPT=核拡散防止条約の再検討会議で岸田総理大臣の演説を現地で聴いた広島の被爆者で広島県被団協=広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長は「岸田総理大臣の演説は『核兵器を国際社会が協力して現実的になくしていかなくてはいけない』と言うばかりで『日本政府が先頭に立って世界を引っ張っていく』という一番重要な言葉が出てこなかったと感じた。その意気込みがないと核兵器廃絶は難しいと思う」と述べました。
その上で「岸田総理大臣はこれまで『被爆者の声を聞く』と言ってきたが、今回の演説を聴くと、本当に被爆者の声を聞いているのか疑問に思った」と述べました。
その上で「岸田総理大臣はこれまで『被爆者の声を聞く』と言ってきたが、今回の演説を聴くと、本当に被爆者の声を聞いているのか疑問に思った」と述べました。
展示スペースで広島県の取り組みなど視察
岸田総理大臣は、NPTの再検討会議の出席に先立って、会場の国連本部の一角に設けられた展示スペースを視察しました。
そこには、広島県のこれまでの核兵器廃絶に向けた取り組みなどを紹介したのぼりが置かれていて、岸田総理大臣は、同行した広島県の湯崎知事から概要について説明を受けたあと、一緒に記念撮影を行っていました。
そこには、広島県のこれまでの核兵器廃絶に向けた取り組みなどを紹介したのぼりが置かれていて、岸田総理大臣は、同行した広島県の湯崎知事から概要について説明を受けたあと、一緒に記念撮影を行っていました。
核兵器を持たない国の会合に出席
岸田総理大臣は、日本時間の2日未明、核軍縮で日本と同じ立場の非核保有国でつくる、NPDI=軍縮・不拡散イニシアチブの会合にも出席しました。
この中で「『核兵器のない世界』への道のりは、いっそう厳しくなっているが、理想に向けて現実的な歩みを一歩ずつ進めなければならない。その原点がNPTで、維持・強化することは国際社会全体にとって利益だ」と訴えました。
その上で「非核保有国によるNPDIは、核軍縮や核不拡散の議論をリードする、キープレーヤーがそろっている。『核兵器のない世界』に向け、まずは、今回のNPTの運用検討会議が意義ある成果を収めることが極めて重要で、このメンバー国とともに全力を尽くす」と述べました。
この中で「『核兵器のない世界』への道のりは、いっそう厳しくなっているが、理想に向けて現実的な歩みを一歩ずつ進めなければならない。その原点がNPTで、維持・強化することは国際社会全体にとって利益だ」と訴えました。
その上で「非核保有国によるNPDIは、核軍縮や核不拡散の議論をリードする、キープレーヤーがそろっている。『核兵器のない世界』に向け、まずは、今回のNPTの運用検討会議が意義ある成果を収めることが極めて重要で、このメンバー国とともに全力を尽くす」と述べました。