五輪組織委元理事 AOKIから数千万円受領 電通など関係先捜索
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の元理事が代表を務める会社が、大会スポンサーだった紳士服大手のAOKIホールディングス側から、コンサルタント料として数千万円を受け取っていたことをめぐり、東京地検特捜部は、受託収賄の疑いで元理事の自宅や関係先を捜索しています。
捜索を受けているのは、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事の都内の自宅で、東京地検特捜部は、関係先として東京 港区にある大手広告会社電通本社なども捜索しています。
この問題は、高橋元理事が代表を務める都内の会社が紳士服大手の「AOKIホールディングス」側とコンサルタント契約を結び、数千万円を受け取っていたもので、関係者によりますと捜索の容疑は受託収賄だということです。
高橋元理事は電通の元専務で、電通は組織委員会から「マーケティング専任代理店」に指名されるなど、東京大会のスポンサーの選定に関わっていました。
AOKI創業者の青木拡憲前会長(83)は、これまでの東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、資金提供を認めたうえで「元理事の人としての力に期待した」などと説明しているということです。
「AOKIホールディングス」は、2018年に組織委員会とスポンサー契約を結んだうえで、エンブレムの入ったスーツなどを公式ライセンス商品として販売していました。
組織委員会の理事は「みなし公務員」として職務に関して金品を受け取ることが刑法の収賄罪などで禁じられていて、特捜部は、関係先の捜索で押収した資料を分析し、資金提供の趣旨などについて実態解明を進めるものとみられます。
高橋元理事は電通の元専務で、電通は組織委員会から「マーケティング専任代理店」に指名されるなど、東京大会のスポンサーの選定に関わっていました。
AOKI創業者の青木拡憲前会長(83)は、これまでの東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、資金提供を認めたうえで「元理事の人としての力に期待した」などと説明しているということです。
「AOKIホールディングス」は、2018年に組織委員会とスポンサー契約を結んだうえで、エンブレムの入ったスーツなどを公式ライセンス商品として販売していました。
組織委員会の理事は「みなし公務員」として職務に関して金品を受け取ることが刑法の収賄罪などで禁じられていて、特捜部は、関係先の捜索で押収した資料を分析し、資金提供の趣旨などについて実態解明を進めるものとみられます。
高橋元理事 NHKの取材に不正を強く否定
高橋治之元理事は今月、NHKの取材に複数回、応じています。
この中で「オリンピックに関してAOKI側に便宜を図ったことはない」と不正を強く否定しています。
高橋元理事によりますと、みずからが代表を務める都内の会社「コモンズ」がAOKIホールディングス側とコンサルタント契約を結んだのは2017年だということです。
また、契約を結んだのは、AOKIホールディングス創業者の青木拡憲前会長からの依頼だったと説明しています。
そのうえで元理事は「オリンピックに関してAOKI側に便宜を図ったことはない。青木前会長には、本業のスポーツのコンサルタントとしては相談に乗りますよと言った。理事の立場は公益なので協力はできませんと、最初からはっきり伝えている。青木前会長は『もちろんわかっています』と言っていた」と説明しました。
AOKIホールディングスが組織委員会とスポンサー契約を結んだことについては、「AOKIには東京大会の招致活動にも協力してもらったし、過去の実績から、組織委員会が決めたんじゃないかと思う」と述べ、みずからの関与を否定しています。
この中で「オリンピックに関してAOKI側に便宜を図ったことはない」と不正を強く否定しています。
高橋元理事によりますと、みずからが代表を務める都内の会社「コモンズ」がAOKIホールディングス側とコンサルタント契約を結んだのは2017年だということです。
また、契約を結んだのは、AOKIホールディングス創業者の青木拡憲前会長からの依頼だったと説明しています。
そのうえで元理事は「オリンピックに関してAOKI側に便宜を図ったことはない。青木前会長には、本業のスポーツのコンサルタントとしては相談に乗りますよと言った。理事の立場は公益なので協力はできませんと、最初からはっきり伝えている。青木前会長は『もちろんわかっています』と言っていた」と説明しました。
AOKIホールディングスが組織委員会とスポンサー契約を結んだことについては、「AOKIには東京大会の招致活動にも協力してもらったし、過去の実績から、組織委員会が決めたんじゃないかと思う」と述べ、みずからの関与を否定しています。
電通「捜査に全面的に協力」
電通は「本日午前、東京地方検察庁特別捜査部の捜査が入ったことは事実です。当社は、東京地方検察庁の要請に誠意をもって対応するなど捜査に全面的に協力してまいります」とコメントしています。
組織委員会 理事の権限は
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の理事は、スポーツ分野や経済界、大学教授などから最大で45人が選ばれていました。
大会組織委員会の清算法人によりますと、高橋元理事はスポーツビジネスに深い知見があるとして、2014年6月、理事に就任していたということです。
組織委員会の定款で理事会の権限は「業務執行の決定」などと規定されていて、清算法人によりますと、大会の予算や決算、組織委員会の解散などの重要な事項については、出席した理事の過半数の承認で決めていたということです。
一方、企業とのスポンサー契約については、理事会には契約が結ばれたあと報告され、理事会が決定に関与することはなかったとしています。
大会組織委員会の清算法人によりますと、高橋元理事はスポーツビジネスに深い知見があるとして、2014年6月、理事に就任していたということです。
組織委員会の定款で理事会の権限は「業務執行の決定」などと規定されていて、清算法人によりますと、大会の予算や決算、組織委員会の解散などの重要な事項については、出席した理事の過半数の承認で決めていたということです。
一方、企業とのスポンサー契約については、理事会には契約が結ばれたあと報告され、理事会が決定に関与することはなかったとしています。
電通と東京大会
大手広告会社 電通は、国内最大の広告会社で、昨年度の決算で海外を含めたグループ全体の売上高は5兆円を超えています。
主力の広告事業のほか、国内外で行われる大型イベントの企画立案や運営などを手がけ、オリンピック・パラリンピックや、サッカーのワールドカップの放映権の販売など、国際的なイベントにも深く関わっています。
東京大会では、2014年に組織委員会から「マーケティング専任代理店」に指名され、スポンサー契約を希望する企業との窓口となりました。
また、組織委員会でスポンサー企業の選定やライセンス商品の審査を担当していた「マーケティング局」には、電通から社員が出向し、局長や次長などの幹部の多くも、電通出身者が務めていました。
主力の広告事業のほか、国内外で行われる大型イベントの企画立案や運営などを手がけ、オリンピック・パラリンピックや、サッカーのワールドカップの放映権の販売など、国際的なイベントにも深く関わっています。
東京大会では、2014年に組織委員会から「マーケティング専任代理店」に指名され、スポンサー契約を希望する企業との窓口となりました。
また、組織委員会でスポンサー企業の選定やライセンス商品の審査を担当していた「マーケティング局」には、電通から社員が出向し、局長や次長などの幹部の多くも、電通出身者が務めていました。
電通の元社員「企業にとって非常に有力な人脈」
電通の専務だった高橋元理事について、電通の元社員で、組織委員会にも所属していた男性は「IOC=国際オリンピック委員会や、FIFA=国際サッカー連盟と一緒に、今のオリンピックとワールドカップのビジネスモデルを作り上げたと評価されている。IOCやFIFAの幹部に直接、顔が利いて、話ができる。非常に大きな貢献をした人物だと思う」と指摘しました。
そのうえで「東京大会の国内スポンサーに関するマーケティングは、専任代理店として電通が仕切ってやっていた。スポンサーになりたい企業にとっては非常に有力な人脈だったと思う」と述べました。
そのうえで「東京大会の国内スポンサーに関するマーケティングは、専任代理店として電通が仕切ってやっていた。スポンサーになりたい企業にとっては非常に有力な人脈だったと思う」と述べました。
スポンサー契約とは
先月解散した「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会」の清算法人によりますと、大会の国内スポンサーは組織委員会と契約し、協賛金を支払えば、国内を対象に、ロゴやエンブレムなどを使った商品の販売や広告・宣伝を行うことができます。
国内スポンサーは協賛金の額に応じて「ゴールドパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」の3つのランクがあり、ランクごとに販売や広告にエンブレムなどを使用できる権利が異なるということです。
このほか、IOC=国際オリンピック委員会と契約を結び、全世界を活動の対象とする「ワールドワイドオリンピックパートナー」と呼ばれるスポンサー企業もあります。
個別の契約内容や協賛金の額は、いずれも非公開ですが、先月、組織委員会が発表した東京大会の最終的な開催経費は1兆4238億円で、このうち組織委員会が契約した国内スポンサーからの収入は、およそ4分の1の3761億円に上りました。
AOKIホールディングスは、2018年10月、3つ目のランクの「オフィシャルサポーター」として組織委員会と契約し、エンブレムの入ったスーツなどを公式ライセンス商品として販売していました。
スポンサー契約を結ぶかどうかは、組織委員会の「マーケティング局」で検討され、IOCの審査などを経たうえで、理事会には決定したあとに報告されていたということです。
国内スポンサーは協賛金の額に応じて「ゴールドパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」の3つのランクがあり、ランクごとに販売や広告にエンブレムなどを使用できる権利が異なるということです。
このほか、IOC=国際オリンピック委員会と契約を結び、全世界を活動の対象とする「ワールドワイドオリンピックパートナー」と呼ばれるスポンサー企業もあります。
個別の契約内容や協賛金の額は、いずれも非公開ですが、先月、組織委員会が発表した東京大会の最終的な開催経費は1兆4238億円で、このうち組織委員会が契約した国内スポンサーからの収入は、およそ4分の1の3761億円に上りました。
AOKIホールディングスは、2018年10月、3つ目のランクの「オフィシャルサポーター」として組織委員会と契約し、エンブレムの入ったスーツなどを公式ライセンス商品として販売していました。
スポンサー契約を結ぶかどうかは、組織委員会の「マーケティング局」で検討され、IOCの審査などを経たうえで、理事会には決定したあとに報告されていたということです。
「オフィシャルサポーター」のスポンサー契約とは
AOKIホールディングスは2018年10月、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会と「オフィシャルサポーター」のスポンサー契約を結びました。
会社によりますと、この契約を通じて、大会のエンブレムの入ったスーツなど公式ライセンスの商品を販売し、全国の店舗で3万着以上を売り上げたということです。
また、2019年10月には競技の審判など大会の運営者が着用するユニフォームを作製する契約を組織委員会と結んでいました。
AOKIは大会に関連して、このほかにJOC=日本オリンピック委員会とJPC=日本パラリンピック委員会が公募した開会式などで日本代表選手団が着用する公式ウエアの事業者にも選ばれています。
会社によりますと、この契約を通じて、大会のエンブレムの入ったスーツなど公式ライセンスの商品を販売し、全国の店舗で3万着以上を売り上げたということです。
また、2019年10月には競技の審判など大会の運営者が着用するユニフォームを作製する契約を組織委員会と結んでいました。
AOKIは大会に関連して、このほかにJOC=日本オリンピック委員会とJPC=日本パラリンピック委員会が公募した開会式などで日本代表選手団が着用する公式ウエアの事業者にも選ばれています。
AOKIホールディングス「捜査に全面的に協力」
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の元理事が代表を務める会社が、大会スポンサーだった紳士服大手のAOKIホールディングス側からコンサルタント料として数千万円を受け取っていたことをめぐり、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出したことについて、「AOKIホールディングス」は「捜査中の事案なのでお話しできることはありません。捜査には全面的に協力します」とコメントしています。
小池知事「これから注視していきたい」
去年の東京オリンピック・パラリンピックの開催都市である東京都の小池知事は、26日午前、都庁で記者団に対して、「家宅捜索が入ったことは報道で承知している。これから注視していきたいと思う」と述べました。
橋本聖子元五輪相「非常に残念」
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長を務めた橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「組織委員会として個別の理事がスポンサー契約を結んでいることには何ら関与しておらず、把握していなかったが、捜査の状況をしっかり見守りながら捜査当局の指示があれば協力しなければならないと思う」と述べました。
そのうえで「スポーツの最高峰と言われるオリンピック・パラリンピックの舞台で、こうしたことがあとから出てくることは非常に残念だ。多くのアスリートや関係者が夢にまで見た大会で、コロナ禍でも成果を挙げたことに傷がつかないようにしなければならない。疑惑が残らないよう、青少年に夢や希望を届けるという教育の観点からもクリアにされなければならない」と述べました。
そのうえで「スポーツの最高峰と言われるオリンピック・パラリンピックの舞台で、こうしたことがあとから出てくることは非常に残念だ。多くのアスリートや関係者が夢にまで見た大会で、コロナ禍でも成果を挙げたことに傷がつかないようにしなければならない。疑惑が残らないよう、青少年に夢や希望を届けるという教育の観点からもクリアにされなければならない」と述べました。
磯崎官房副長官「政府としてコメント差し控えたい」
磯崎官房副長官は閣議のあとの記者会見で「報道があったことは承知している。本件については必要に応じて、清算法人である東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が適切に対応すると伺っている。政府としては現段階でのコメントは差し控えたい」と述べました。
末松文部科学大臣「事実であればたいへん遺憾」
オリンピック・パラリンピック担当大臣を兼務する末松文部科学大臣は、記者会見で、「報道は承知している。必要に応じ、清算法人である組織委員会で適切に対応するものとうかがっており、捜査の状況を見守りたい。仮に事実であればたいへん遺憾だが、文部科学省としては現時点ではコメントは差し控える」と述べました。
組織委理事「透明性確保が重要 しっかり検証を」
オリンピック・パラリンピックの理念や歴史に詳しく、東京大会の組織委員会で理事を務めた中京大学の來田享子教授は、組織委員会の会長だった森喜朗氏が女性蔑視と取れる発言の責任を取って辞任した問題を受けて、去年3月、新たに選任された12人の女性理事の1人です。
NHKの取材に応じた來田教授は「理事会のメンバーは『みなし公務員』で、特定の企業の利益になるような何らかの働きかけをすることは基本的にはやってはならないことだ。オリンピックでは大きなカネが動くので、襟を正して行動することが求められる」と指摘しました。
そのうえで、「フランスでは、再来年の大会開催にあたり透明性確保のため新たな法律を設けているが、日本の今の法律では、組織委員会は相手の利害に関わるという理由で、個別の契約内容を公開しないことが認められている。オリンピックのように大きな税金を投じるイベントでは、透明性のある公明正大な仕組みを事前に作っておくべきだった。今回の問題はしっかり検証する必要がある」と指摘しました。
NHKの取材に応じた來田教授は「理事会のメンバーは『みなし公務員』で、特定の企業の利益になるような何らかの働きかけをすることは基本的にはやってはならないことだ。オリンピックでは大きなカネが動くので、襟を正して行動することが求められる」と指摘しました。
そのうえで、「フランスでは、再来年の大会開催にあたり透明性確保のため新たな法律を設けているが、日本の今の法律では、組織委員会は相手の利害に関わるという理由で、個別の契約内容を公開しないことが認められている。オリンピックのように大きな税金を投じるイベントでは、透明性のある公明正大な仕組みを事前に作っておくべきだった。今回の問題はしっかり検証する必要がある」と指摘しました。