コロナ感染後の子ども 心臓の働きなど悪くなる症状 全国調査へ

新型コロナウイルスに感染した子どもが、感染から数週間後に心臓の働きなどが悪くなる小児多系統炎症性症候群=「MIS-C」と呼ばれる症状と診断されるケースが相次いでいることが、自治医科大学附属病院などの調査でわかりました。
病院は、近く小児科医などの学会と合同で、全国規模の実態調査を行う方針です。

小児多系統炎症性症候群=「MIS-C」は、新型コロナウイルスに感染した子どもにまれにみられる新たな症状で、感染から2週間から6週間後に全身に炎症が起き、心臓など複数の臓器の働きが悪くなるなどして、海外では死亡するケースも報告されています。

自治医科大学附属病院によりますと、国内ではことし初めの第6波までは、子どもの感染自体が比較的少なかったため注目されていませんでしたが、ことしに入って「MIS-C」と診断されるケースが相次ぎ、全国で少なくとも20例、確認されているということです。

いずれの患者も症状は改善し、経過観察中だということです。

病院は、実態を把握するため近く小児科医などの学会と合同で全国の医療機関を対象に調査を行う方針です。

自治医科大学附属病院小児科の松原大輔医師は、「コロナの感染が続けば、『MIS-C』の患者も出続けることが予想される。しっかりデータを集めたい」と話しています。

「MIS-C」とは

小児多系統炎症性症候群=「MIS-C」は、欧米を中心に新型コロナウイルスに感染した一部の子どもに見られる新たな症状です。

アメリカのCDC=疾病対策センターは、おととし5月から「MIS-C」の患者の数を取りまとめていて、ことし6月27日までの2年余りで「MIS-C」と診断されたケースは全米で8639例で、このうち70例で死亡しています。

発症のメカニズムなど、詳しいことはわかっておらず、今後、臨床データの蓄積が必要だとしています。