石川県 能登地方で震度5強の地震 津波なし

20日午前、石川県の能登地方で震度5強の揺れを観測する地震がありました。この地震による津波の心配はありません。

能登地方では地震活動が活発な状態が続いていて、気象庁が震度6弱程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

20日午前10時半ごろ、石川県能登地方を震源とするマグニチュード5.0の地震がありました。

この地震で、
震度5強を石川県珠洲市で、
震度4を石川県能登町で観測しました。

また、
震度3の揺れを石川県の七尾市、輪島市、富山県の富山市、射水市舟橋村、新潟県上越市で観測したほか、
震度2から1の揺れを北陸や関東甲信越、岐阜県、それに福島県の各地で観測しました。

気象庁の観測によりますと、震源地は石川県能登地方で震源の深さは14キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.0と推定されています。

この地震による津波の心配はありません。

石川県の能登地方では19日に珠洲市で震度6弱を観測した地震の後、地震活動が活発な状態が続き、20日午前11時までに震度1以上の体に感じる揺れを観測した地震は、今回の珠洲市で震度5強を観測した地震も含めて10回起きています。

気象庁は、今後1週間程度は震度6弱程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

政府 官邸対策室で情報収集

政府は、19日総理大臣官邸の危機管理センターに設置した官邸対策室で、被害の確認や情報収集などにあたっています。

揺れの注意点は

気象庁によりますと、震度5強の揺れは物につかまらないと歩くことが難しく、固定していない家具が倒れたり、補強されていないブロック塀が崩れたりすることがあります。

【落石や崖崩れなど注意】

揺れの強かった地域では、落石や崖崩れなどの危険性が高まっているため、危険な場所には近づかないようにするとともに、今後の地震活動に十分注意するようにしてください。

【片付けなども注意】

片付けをする場合などは、割れた食器やガラスなどで思わぬけがをするおそれがあります。

決して無理をしないようにして、室内を歩くときはスリッパや靴をはくようにしてください。

不安を感じる場合は、安全な場所に避難してください。

専門家「19日の地震の余震と考えられる 引き続き注意を」

能登地方で震度5強の揺れを観測した地震について、東京大学地震研究所の古村孝志教授は「この地域では4年前(2018年)から活動が活発になっているが今は増えているような時期だ。群発的な活動になっている。「1週間くらい強い揺れに備える」とされているがそれは震度6弱を観測したきのうの地震に対してであり、この地域では長期的な活動に備える必要がある」と指摘しています。

また、「19日、震度6弱を観測した地震と震源が近く、余震と考えられる。能登半島では去年の夏から地震活動が高まっていて、一連の活動のひとつではないか。また、2018年ごろからいわゆる地震が群発するような状態となっている。一般的には数か月から数年にわたって活動が続く可能性があるので、引き続き注意が必要だ」と指摘しています。

また「地震の規模はマグニチュード5クラスと内陸で起きる地震ではそれほど大きくはないが、震源が浅いため強い揺れになったと考えられる。木造家屋に影響が出やすい周期1秒程度の“ゆさゆさ”とした揺れが観測されていて、強い揺れが繰り返され家屋などへの影響が蓄積されているおそれもある」としたうえで「繰り返す揺れに不安を感じる場合には、しばらくは安全な場所に身を移すことを検討するほか、がけ崩れや土砂崩れなど身の回りの安全に常に注意を払って欲しい」と呼びかけました。

石川 能登地方 地震活動が活発

石川県能登地方では19日珠洲市で震度6弱の揺れを観測する地震が起きていますが、地震活動が活発な地域です。

気象庁によりますと、4年前(2018)ごろから小規模な地震の活動が確認され、おととし(2020)12月以降、活発化する傾向がみられていたということです。

特に去年(2021年)の春以降、震源が少しずつ変わりながら活動が活発になっており、去年9月にはマグニチュード5.1の地震が起き珠洲市で震度5弱の揺れを観測しました。

地殻変動 関連指摘も

いっぽう、地震活動との関連が指摘されているのが地殻変動です。

地震活動が活発になったおととし(2020年)12月ごろから、地面が隆起する地殻変動も観測されていて地震との関連が指摘されています。

地殻変動はことしに入ってもゆるやかに続いていて、珠洲市の観測点ではこれまでに地面が4センチほど隆起しています。

周囲に火山がない場所でこれだけの変化が観測されるのは珍しく、メカニズムについては専門家でも議論が続いています。

地殻変動が専門で京都大学防災研究所の西村卓也准教授がその要因として指摘しているが地下の深さ十数キロの場所に流れ込んだ「なんらかの流体」です。

かつて、太平洋側から地下深くに沈み込んだプレートの岩石から水分が分離して上昇した可能性もあるとしていますが詳しくはわからないとしています。

西村准教授によりますとことしに入り地殻変動はペースを落としながらも続いていて、地震活動も活発な状態だったことから、引き続き規模の大きな地震が起きるおそれがあるとして、揺れへの警戒が必要だとしています。

能登地方 過去にも地震被害

また、能登地方全体でみてもたびたび地震の被害を受けていて15年前の2007年3月には今回の震源の南西側にあたる場所でマグニチュード6.9の「能登半島地震」が発生し、1人が亡くなったほか、3万棟以上の建物が被害を受けました。

1993年(平成5年)には能登半島の北の沖合でマグニチュード6.6の地震が発生しています。

能登地方での地震 2020年12月以降で150回以上

気象庁によりますと、石川県の能登地方ではおととしの2020年12月以降、活発な地震活動が続いていて、震度1以上を観測した地震があわせて150回以上にのぼっています。

能登地方では19日、珠洲市で震度6弱を観測した地震の後、20日午前11時までに震度1以上の体に感じる揺れを観測した地震は今回の珠洲市で震度5強を観測した地震も含めて10回起きています。

気象庁は、今後1週間程度は震度6弱程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。