新型コロナ専門家会合 “感染者 減少傾向も夏ごろに増加懸念”
新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染者数は減少傾向が続いている一方で、時間がたつとワクチン接種などで得られた免疫の効果が下がっていくことなどから、夏ごろには感染者数の増加も懸念されると指摘しました。
専門家会合は、現在の感染状況について全国で減少傾向が続き、首都圏や大阪府、愛知県など大都市圏のほか、一部の地方都市でも去年夏の第5波のピークを下回っているほか、人口当たりの感染者数が全国で最も多い沖縄県でもこの3週間、減少傾向が続いているとしています。
年代別でもすべての年代で感染者数は減少し、これまで横ばいだった亡くなる人の数も減少に転じたとしました。
今後の感染状況について、短期的には大都市部で減少傾向が続くことが見込まれる一方で、3回目のワクチン接種やこれまでの感染によって得られた免疫の効果が徐々に下がっていくこと、来月以降は夏休みの影響もあって人との接触機会が増えること、オミクロン株の新しい系統に置き換わっていく可能性があることから「夏ごろに感染者数の増加も懸念される」として、医療体制への影響などを注視する必要があると指摘しました。
また、緩和が進む水際対策については、海外から訪れる人に対して日本に向けて出国する前の検査を継続して求めつつ、日本に入国する際の検査で陽性となった人については、変異ウイルスの状況を監視するためウイルスの遺伝子解析を続けることが必要だとしました。
専門家会合は、地方都市を中心に全国の半数以上の地域でいまだに去年夏のピークよりも感染者数が多い状況が続いているとして、ワクチンの3回目の接種をさらに進めるとともに、少しでも体調が悪ければ外出を控えること、不織布マスクの正しい着用、手洗い、1つの密でも避けるといった基本的な感染対策を徹底することなどを呼びかけました。
さらに、高齢者の重症化を予防するために、介護福祉施設では入所者への4回目のワクチン接種を進めるよう求めました。
後藤厚労相「全国的に減少傾向が続いている」
そのうえで「沖縄県では全国で最も高い状況が続いているものの、直近のおよそ3週間は減少がほぼ継続している。引き続き今後の感染状況を注視していく」と述べました。
1週間の新規感染者数 46都道府県で減少
首都圏の1都3県では、東京都で0.72倍、神奈川県で0.68倍、千葉県で0.67倍、埼玉県で0.63倍、
関西では大阪府で0.71倍、兵庫県で0.68倍、京都府で0.58倍、
東海では愛知県で0.72倍、岐阜県で0.80倍、三重県で0.69倍と各地で減少しています。
また、北海道は0.65倍、宮城県は0.71倍、広島県は0.64倍、福岡県は0.65倍、人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県も0.88倍などと減少しています。
46都道府県で減少していて、前の週より新規感染者数が多くなったのは1.01倍だった徳島県のみとなっています。
人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、減少傾向が続いているものの、沖縄県が590.20人と全国で最も多くなっています。
次いで鹿児島県が170.94人、宮崎県が152.58人、長崎県が152.40人、熊本県が140.48人、福井県が132.88人、そして大阪府が113.94人、東京都が94.88人などとなっていて、全国では96.76人と100人を下回りました。
医療や介護現場の対策 提言まとめる
提言では、効果的で負担の少ない対策ができる状況になりつつあるとして、標準的な予防策をとることを前提にした上で、感染者への対応で体が密着せず、排せつ物などに触れる可能性が低い場合にはエプロンやガウンの着用は必要がなく、医療機関で感染者を受け入れる場合でも病棟全体をコロナ専用にするのではなく、病室単位で患者を受け入れる場所を設けるといった対応も可能だなどとしています。
また、高齢者施設での面会は可能で、医療機関での面会については、子どもの入院患者や出産の立ち会い、患者のみとりなど必要性が高い場面から受け入れていくべきだとしています。
さらに、換気は重要だとしながら、接触による感染の広がりは当初考えられていたより少ないとする報告があるとして、何度も設備の消毒をするなどの過剰な対応は減らすべきとしました。
専門家会合の舘田一博委員は「施設によっては緩和に慎重にならざるをえないところもある。今回示した方向性をもとにできる対策を考えてほしい」としています。