天安門事件から33年 香港で集会開かれず 台湾では追悼像を複製

中国の北京で民主化を求める学生らの運動が武力で鎮圧され、大勢の死傷者が出た天安門事件から33年となった4日夜、香港では警察による厳戒態勢のもと、長年開かれてきた追悼集会は開かれませんでした。

集会を主催してきた団体はすでに解散に追い込まれており、事件に関連する活動は厳しく封じ込められています。

天安門事件について香港では、市民団体が毎年6月4日に集会を開き、数万人がろうそくをかかげて犠牲者を追悼するとともに、中国政府に真相究明を求めてきました。

しかし、市民団体は去年解散に追い込まれたうえ、民主化運動で中心的な役割を担ってきた活動家もほとんどが逮捕・起訴されていて、ことしは集会の開催を申請した団体はありませんでした。

長年集会が開かれてきた公園では4日夜、大勢の警察官が周辺を封鎖して近づこうとする人を排除していたほか、近くの繁華街でも市民の持ち物の検査を行うなど厳しい警戒態勢が続きました。

香港の追悼集会は、一国二制度によって保障されてきた言論や集会の自由の象徴と受け止められてきましたが、去年とおととしも警察は開催を許可しておらず、事件に関連する活動は厳しく封じ込められています。

毎年、集会に参加してきたという男性は「何も言いたいことを言えず、自分の気持ちを抑えなくてはならないのはつらい」と話していました。

台湾では追悼集会で追悼像の複製披露

一方、台湾では4日夜、市民団体による天安門事件の追悼集会が開かれ、香港で去年撤去された事件の犠牲者を追悼する像の複製が披露されました。

この像は、天安門事件の犠牲者をモチーフに、デンマーク人の芸術家が制作したもので、1998年から香港大学の構内に設置され、事件の真相究明を求める人たちが毎年、像の前で追悼行事を行っていました。

しかし、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法による摘発が相次ぐ中、去年12月、大学側が「法律違反となるリスクを避けるため」として、像を撤去しました。

これに対し、台湾の市民団体が制作者の同意を得て3Dプリンターで複製し、昨夜、台北市内で開いた事件の追悼集会で披露しました。

集会には、台湾在住の香港の人たちも含めておよそ500人が参加し、事件が起きた1989年6月4日にちなんで午後8時9分から64秒間、犠牲者に黙とうをささげました。

主催した「華人民主書院協会」の曽建元理事長は「天安門で学生を鎮圧し、香港の自由を奪ったのと同じ政権の軍用機や軍艦が今、台湾周辺に来ている。中国共産党の迫害を受けた人たちのことを台湾が自分のこととして考えなければ、ほかの国の人たちも台湾のことを考えてくれない」と述べ、追悼集会の意義を強調しました。