視覚障害者の死亡事故受け“踏切にブロック設置を” 国交省

ことし4月、奈良県で目の不自由な女性が踏切内で列車と接触して死亡した事故を受けて、国土交通省は踏切の手前の点字ブロックや踏切内で立ち位置を認識するためのブロックの設置を自治体などの道路管理者に求めていく方針を決め、今月中にも関連するガイドラインを改定することにしています。

ことし4月、奈良県内の鉄道の踏切で目の不自由な女性が列車に接触して死亡する事故があり、警察は踏切の中で立ち位置が分からなくなって事故に遭ったとみて調べています。

事故を受け国土交通省は、踏切の手前に注意を促す点字ブロックや、踏切内に目の不自由な人が立ち位置を認識するためのブロックの設置を自治体などの道路管理者に求めていく方針を決めました。

踏切の手前については前方に踏切があることを知らせる点字ブロックのほか、適切に誘導するための線状のブロックも積極的に整備することを求めるとしています。
踏切内のブロックについては手前のブロックと同じ形状では誤認するおそれがあるため異なる形が望ましいとしていますが、現状では統一的なデザインは決まっていないため今後有識者による検討を進めるということです。

国土交通省は今月中にも関連するガイドラインを改定し、道路管理者に周知することにしています。

事故の遺族 “これで堂々とわたることができると思う”

国が対策に乗り出したことについて、事故で亡くなった高垣陽子さんの母親の三智子さん(77)は「陽子のために、動いてくれたんだと思うとありがたいです。踏切内に点字ブロックがあれば迷わなくなるし、堂々と踏切を渡ることができると思います。踏切を歩くだけでも怖かったと思うので、視覚障害者は喜んでいると思います」と話していました。

また奈良県視覚障害者福祉協会の辰巳壽啓会長は「早い対応にありがとうございますと言いたいです。今まで陳情をしても時間がかかっていたので、びっくりしました」と話していました。
そのうえで「われわれ視覚障害者の団体と話し合っていいものを敷設してもらえればと思います。視覚障害者のみならず、すべての障害者が自由にどこにでも移動できて、安心して暮らせる街になってほしい」と期待を示しました。