今回検証が行われたのは、ベランダの柵に設置する手すりを、触れると回転するタイプの器具にした場合、子どもが柵を乗り越えることを防ぐ効果があるかどうかです。
実験ではベランダの柵を模した装置を使い、柵の高さや手すりの位置の条件を変えながら、どのような条件にすれば子どもが柵を乗り越えないようにできるか年齢別に調べました。
▼3歳では、全員が回る手すりに手をとられて柵を乗り越えられず、
▼4歳と5歳では多くの子が乗り越えられませんでしたが、
手すりを抱えるようにして柵を乗り越えてしまう子も見られました。
NPOによりますと、今回の実験で回転式の手すりを使ったのは、過去の実験でベランダの柵を高くするだけでは子どもが柵を乗り越えるのを防ぐことが難しいという結果が出ているためだということです。
このNPOは、10日の実験結果も参考に回転するタイプの手すりに改良を加え、実際のベランダにつけられるような実用化を目指したいとしています。
子どものベランダからの転落事故 保育園で防止策を実験
気温が上がり家の窓を開ける機会の多いこの時期に増えるのが、子どものベランダからの転落事故です。ベランダの柵に回転するタイプの手すりをつけることでこうした転落事故を防げないか、実際に小さな子どもが参加して検証する実験が横浜市で行われました。
国の人口動態調査によりますと、2018年までの5年間で、9歳以下の子どもがマンションのベランダなど建物から転落して死亡する事故は37件にのぼっています。
10日の実験はこうした子どもの事故を減らそうと活動を行っているNPO法人が主催し、横浜市泉区の保育園で3歳から5歳の園児70人余りが参加して行われました。
NPO法人「Safe KidsJapan」の大野美喜子 理事は、「新型コロナの影響で、窓を開ける機会も増えているので、これまで以上に転落事故に注意が必要だ。今後も、回転式の手すりを含め、さまざまな対策を検討したい」と話していました。
大型連休中も 4階ベランダから転落し大けが
大型連休中も、都内では子どもがベランダから転落して大けがをする事故がありました。
警視庁によりますと、5月3日、東京・江東区木場のマンションで10歳未満の小学生の女の子が4階のベランダから転落しました。
マンションの正面玄関付近に倒れているのが見つかり、病院に搬送されましたが、足や腕の骨を折る大けがだということです。
女の子が住む4階の部屋のベランダには、手すりが付いた高さ1メートル余りの柵がありましたが、子どもが自力で上れる程度の高さだということです。
また当時、両親は近所に買い物に出かけていて、女の子は兄と2人で留守番していましたが、兄は別の部屋にいて転落に気づかなかったということです。
警視庁は女の子が何らかの理由でベランダの柵に上り、誤って転落したとみて当時の状況を調べています。
警視庁によりますと、5月3日、東京・江東区木場のマンションで10歳未満の小学生の女の子が4階のベランダから転落しました。
マンションの正面玄関付近に倒れているのが見つかり、病院に搬送されましたが、足や腕の骨を折る大けがだということです。
女の子が住む4階の部屋のベランダには、手すりが付いた高さ1メートル余りの柵がありましたが、子どもが自力で上れる程度の高さだということです。
また当時、両親は近所に買い物に出かけていて、女の子は兄と2人で留守番していましたが、兄は別の部屋にいて転落に気づかなかったということです。
警視庁は女の子が何らかの理由でベランダの柵に上り、誤って転落したとみて当時の状況を調べています。
転落事故の原因と対策のポイント
なぜ、子どもがベランダから転落する事故は後を絶たないのか。
実験を行ったNPO法人はこれまでの分析から、
▼転落が大人の想像より短時間で起きうることと
▼柵を高くする対策では限界があることなどを原因として指摘します。
これまで、転落事故を防止する対策として、保護者が目を離さないようにすることやベランダの柵を高くすることなどが大切だとされていました。
しかし、3歳から5歳までを対象に実験を行った結果、ほとんどの場合子どもが1メートル余りの柵を乗り越えるのにかかる時間は30秒以内でした。
中には5秒ほどで乗り越えてしまう子もいたということで、保護者が少しの間目を離すだけで、転落事故が発生してしまうおそれもあるというのです。
一方、ベランダの柵を高くする対策にも限界があるといいます。
国の基準ではマンションなどのベランダの柵の高さは転落防止のために110センチ以上にする必要があります。
しかし、過去の実験では柵の高さを基準より10センチ高い120センチにした場合、▼3歳で6割以上、▼4歳で7割以上、▼5歳で9割以上が柵を乗り越えられました。
140センチにした場合には、
▼3歳はひとりも乗り越えられなかったものの、
▼4歳で2割以上、
▼5歳で7割以上が柵を乗り越えられ、
5歳以上では柵を高くする対策の効果がほとんど見られませんでした。
それでは、どのように対策をすればいいのか。
NPOの大野美喜子理事にポイントを聞きました。
そのひとつが、ベランダに子どもの足場にできるようなものを置かないことです。
足場にできるものがあるとより短時間で容易に柵をのぼれるようになる可能性があります。
ベランダには植木鉢などに加え、日常では使わないものを置いてしまいがちですが、子どものいる家庭では足場になりそうなものを置かないことが大切です。
2つめが、子どもがひとりでベランダに出られないよう、窓に対策をすることです。
子どもの手の届かない位置に補助鍵をつけるほか、窓が安全な幅しか開かない取り付け式の対策グッズを活用する方法もあるということです。
実験を行ったNPO法人はこれまでの分析から、
▼転落が大人の想像より短時間で起きうることと
▼柵を高くする対策では限界があることなどを原因として指摘します。
これまで、転落事故を防止する対策として、保護者が目を離さないようにすることやベランダの柵を高くすることなどが大切だとされていました。
しかし、3歳から5歳までを対象に実験を行った結果、ほとんどの場合子どもが1メートル余りの柵を乗り越えるのにかかる時間は30秒以内でした。
中には5秒ほどで乗り越えてしまう子もいたということで、保護者が少しの間目を離すだけで、転落事故が発生してしまうおそれもあるというのです。
一方、ベランダの柵を高くする対策にも限界があるといいます。
国の基準ではマンションなどのベランダの柵の高さは転落防止のために110センチ以上にする必要があります。
しかし、過去の実験では柵の高さを基準より10センチ高い120センチにした場合、▼3歳で6割以上、▼4歳で7割以上、▼5歳で9割以上が柵を乗り越えられました。
140センチにした場合には、
▼3歳はひとりも乗り越えられなかったものの、
▼4歳で2割以上、
▼5歳で7割以上が柵を乗り越えられ、
5歳以上では柵を高くする対策の効果がほとんど見られませんでした。
それでは、どのように対策をすればいいのか。
NPOの大野美喜子理事にポイントを聞きました。
そのひとつが、ベランダに子どもの足場にできるようなものを置かないことです。
足場にできるものがあるとより短時間で容易に柵をのぼれるようになる可能性があります。
ベランダには植木鉢などに加え、日常では使わないものを置いてしまいがちですが、子どものいる家庭では足場になりそうなものを置かないことが大切です。
2つめが、子どもがひとりでベランダに出られないよう、窓に対策をすることです。
子どもの手の届かない位置に補助鍵をつけるほか、窓が安全な幅しか開かない取り付け式の対策グッズを活用する方法もあるということです。
初夏と秋に目立つ 3歳~4歳で多く発生
マンションなどのベランダや窓から転落する子どもの事故は窓を開けることが多くなる初夏と秋に目立つ傾向があります。
消費者庁によりますと、東京消防庁が公表している2019年までの5年間に起きた5歳以下の子どもの転落事故は、あわせて70件でした。
このうち、
▽5月から6月が27%にあたる19件にのぼったほか、
▽9月から10月は30%にあたる21件で、
2つの時期を合わせると全体の6割近くを占めています。
さらに転落事故は、子どもたち自身が自由に動き回り始める時期でもある3歳から4歳で多く発生しているということです。
こうした事故を防ぐため国土交通省は、マンションなど共同住宅を対象に足をかける場所のない手すりなど子どもの安全の確保のための設備を設置する場合、費用を補助する事業をことし新たに始めました。
例えばマンションを改修して設置する場合は、審査を行ったうえで1戸あたり100万円を上限に補助するということです。
消費者庁によりますと、東京消防庁が公表している2019年までの5年間に起きた5歳以下の子どもの転落事故は、あわせて70件でした。
このうち、
▽5月から6月が27%にあたる19件にのぼったほか、
▽9月から10月は30%にあたる21件で、
2つの時期を合わせると全体の6割近くを占めています。
さらに転落事故は、子どもたち自身が自由に動き回り始める時期でもある3歳から4歳で多く発生しているということです。
こうした事故を防ぐため国土交通省は、マンションなど共同住宅を対象に足をかける場所のない手すりなど子どもの安全の確保のための設備を設置する場合、費用を補助する事業をことし新たに始めました。
例えばマンションを改修して設置する場合は、審査を行ったうえで1戸あたり100万円を上限に補助するということです。