“休日の部活動を地域に移行” 有識者会議の提言案が示される

休日の部活動を地域に移行するための課題を検討するスポーツ庁の有識者会議で、これまでの議論をまとめた提言の案が示され、地域のスポーツクラブや民間事業者のほか、保護者会などが受け皿となって休日の部活動を実施することや、指導者の確保に向けて資格取得や研修の実施を促していくことなどが盛り込まれました。

部活動と学校現場の働き方改革を両立させるため、国は休日の中学校の部活動を地域のスポーツクラブなどに段階的に移行していく方針で、この課題を検討するためスポーツ庁が設置している有識者会議の6回目の会合が26日開かれました。

この中で、これまでの議論を踏まえた提言の案が示され、部活動は競技志向だけではなく、レクリエーション的なものなど、生徒の状況に応じてスポーツの機会を確保する必要があるとしています。

そして、休日の部活動を実施するための受け皿は、地域のスポーツクラブや民間事業者のほか、保護者会なども想定し、指導者の確保に向けては、資格取得や研修の実施を促し、企業やクラブチームと連携している例を参考にすべきだとしています。

さらに、大会の在り方については、生徒などの負担が過度にならないよう、全国大会は適正な回数にすべきで、自分のペースでスポーツに親しむ生徒が成果を発表する場も必要だといった指摘が盛り込まれています。

そのうえで、来年度から3年間を改革の集中期間として、すべての都道府県で推進計画を策定し、その後は平日の部活動の地域移行も推進する必要があるとしています。

出席した委員からは「指導者の確保には大学生の活用策を盛り込むべきだ」とか、スポーツクラブなどに支払う会費をめぐり「経済的に困窮する家庭に対し、国による支援を実現すべきだと明記してほしい」といった意見が出されました。

有識者会議は今後、教育委員会の代表などから意見を聞いたうえで、来月にも提言をまとめる方針です。

友添座長「提言案は部活動を180度変えるもの」

有識者会議の座長を務める日本学校体育研究連合会の友添秀則会長は「少子化が進む現状と、教員の働き方改革の面で、今回の提言案はこれまでの運動部活動を180度変えるものだ。日本のスポーツ振興から考えても、部活動を地域に移行することは、10年後、30年後にとって大きな意味がある」と意義を強調しました。

そして、競技志向だけではなく多様な活動の必要性を提言していることについては「歯を食いしばって行う従来型のスポーツだけでなく、生涯にわたってスポーツを楽しめるように、さまざまな形が取り入れられる環境を作ることが、これからの部活動の在り方だ」と指摘しました。

そのうえで「多くの関係団体があるので、きょう示した提言の案をどう評価するかや、問題点を聞いて修正していきたい」と述べ、最終的な提言は関係者の意見を踏まえたものにする考えを示しました。